リベラル・ワールド
―― リベラルな秩序が今後も続く理由
2018年7月号
数十年前に欧米世界では淘汰されていたはずの世界政治の暗黒思想が息を吹き返している。だがこの風潮をリベラリズム理論への反証、そしてリベラルな民主主義とその国際秩序の解体の兆しとみなすのは間違っている。国際関係理論としてのリベラリズム、統治システムとしてのリベラルな民主主義、そしてグローバル政治の包括的枠組みとしてのリベラルな秩序のオビチュアリー(死亡記事)を書くのは時期尚早だろう。経済、安全保障、環境領域での相互依存状況が続く限り、各国の市民と政府は、問題を解決し、深刻なダメージから逃れるために、互いに協力せざるを得ない。その必要性ゆえに、協調行動が今後も続けられ、リベラルな秩序を支える制度は強化されていくだろう。