CFR In Brief
アマゾン森林火災と地球温暖化
2019年10月号
森林伐採や野焼きなどによって誘発される森林火災によって、(二酸化炭素を貯蔵するだけでなく、排出するよりも多くを吸収して)これまで地球温暖化のペースを鈍化させてきたアマゾンの熱帯雨林の力は疲弊している。世界的にみると森林や植物などで形作られる熱帯雨林は、人類が大気中に放出する二酸化炭素の25-30%を吸収してきたと考えられ、しかも、アマゾンはそうした世界の熱帯雨林のほぼ半分を占有している。しかし、2019年のアマゾンでの森林火災によってすでに2億2千800万トンの二酸化炭素が大気中に排出されており、二酸化炭素吸収源としての熱帯雨林の本来の役割は大きく低下している。しかも、アマゾンの火災は世界中で続発する森林火災の一つに過ぎない。中央アフリカのコンゴ盆地で起きている森林火災が地球上で2番目に大きな熱帯雨林を脅かしていることは、余り知られていない。東シベリアの豊かな森林地帯でも火災が起きている。地球の気温上昇は森林火災の原因の一つだが、専門家は世界で起きているさらなる熱帯雨林の破壊が気候変動のペースをさらに早めることになると警告している。