アジアにおける戦争を防ぐには
―― 米抑止力の形骸化と中国の誤算リスク
2020年7月号
中国の積極性の高まりと軍備増強、一方での米抑止力の後退が重なり合うことで、米中戦争がアジアで起きるリスクはこの数十年で最大限に高まっており、しかもそのリスクは拡大し続けている。アメリカを衰退途上の国家だと確信し、すでに抑止力は空洞化しているとみなせば、北京は状況を見誤って台湾を封鎖あるいは攻撃する恐れがある。早い段階で台湾に侵攻して既成事実を作り、ワシントンがそれを受け入れざるを得ない状況を作るべきだと北京は考えているかもしれない。要するに、北京はワシントンの決意と能力を疑っている。こうして誤算が起きるリスク、つまり、抑止状況が崩れ、2つの核保有国間で紛争が起きる危険が高まっている。