次期米政権の外交レバレッジ
―― 交渉上の優位を生かす現実主義を
2020年11月号
ジョー・バイデンは、トランプ時代の混乱に不満をもつ人々に「われわれが戻ってきた(もう大丈夫だ)」とすぐに伝えると述べており、今後、米市民と世界に対して、トランプのアメリカとは違うことを示すように求める大きな圧力にさらされるだろう。しかし、何から何までトランプの逆路線をとるのも賢明ではない。中国との競争、米中産階級により焦点を当てた政策などを含めて、トランプが残した政策の一部を継承していくつもりであることはすでにバイデンも明らかにしている。だが、前政権が極端な強硬路線をとってきただけに、新政権が相手に対する一連の手立て、交渉材料を手にしていることを認識する必要がある。ユニークながらもいずれは消失していく外交交渉上の優位をレバレッジとしてうまく利用していくべきだろう。