「アメリカは敗北しつつある」
―― 米中競争についての北京の見方
2021年1月号
2008年の金融危機を前に、北京の指導者たちは「欧米の衰退が実際に始まった」と考えるようになった。マルクス主義的な歴史の流れを信じる北京の指導者たちは、毛沢東の言う「無為に中国を抑え込もうとする救いようのない反動勢力」のアメリカは、結局は挫折すると考えてきた。この考えが中国の習近平国家主席の世界観を規定している。それだけに、ワシントンは「中国の能力と目的を分析するだけでなく、北京の指導者たちがアメリカをどのように認識しているか」を踏まえた戦略をとらなければならない。アメリカは衰退の一途をたどっているという中国の指導者たちの思い込みを覆す戦略が必要だ。幸い、そのために、アメリカが実行しなければならないことの多くは、ワシントンが管理できる範囲内にあるし、行動のための時間も残されている。