相互依存とグローバリゼーションはまったく異なる。相互依存が、国家を単位とする国際システムにおける依存関係の「量的拡大」であるのに対して、グローバリズムは「おそらくは国民国家の終焉へとつながりかねない国際システムの抜本的な質的変化」だからである。そして、グローバリゼーションが状況を規定しているのはもっぱら先進工業世界においてで、その内実は、企業内、企業間ネットワークの著しい拡大に特徴づけられる。一方で途上世界がその波から取り残され、いまだ相互依存の関係にあることを忘れてはならない。こうしたなか、IMFや世銀のようなそもそも相互依存に対応するために組織された機構に役割の調整が求められるのは当然として、どうすれば、「民主社会の統治原理」を損なわずにグローバリゼーションから国家主権を守ろうとする試み、保護主義、ナショナリズム、領土紛争などが引き起こす多様な危機に対応できるだろうか。「IMFのような相互依存型の機構と、各国の規制当局者が一堂に集うジョイント・フォーラムといったグローバリゼーション対応型のレジームが、よりいっそう緊密に協力すべきであるのは間違いなく」、これに民間企業も巻き込んだ統治ネットワークの形成が急務である。