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テーマに関する論文

「対テロ戦争」というレトリックの弊害

2002年10月号

グレンビル・バイフォード 国際問題アナリスト

美しさを人がどうとらえるかと同じことで、テロリズムも立場によってとらえ方が違ってくる。目的を達成するのにどのような手段を用いたかで、それがテロであるかどうかを判断するのは間違っている。同時多発テロへのアメリカの怒りにしても、アメリカが攻撃され、アメリカ人が殺されたことに市民は激怒しているのであって、攻撃の手法自体に怒りを募らせているわけではない。したがって、漠然としたものにしかなり得ず、むしろ問題をつくり出す「対テロ戦争」というレトリックを振り回すのをやめるべきだ。国家安全保障にかかわる特定の具体的課題としてテロ問題に取り組むべきであり、テロ対策について語るときも「利益が一番で、次が目的、そして手段」というアメリカ人の常日頃の優先順位を忘れてはならない。

進化する総合安全保障政策と日米同盟の行方

2002年9月号

外交問題評議会シニアフェロー エリック・ヘジンボサム   マサチューセッツ工科大学 政治学教授 リチャード・J・サミュエルス

平和主義、ノーマルな国家になることへの模索、アメリカへの追随、中国に対する反発といった一般通念では、もはや日本の外交路線は説明できない。ワシントンは、日本の総合安全保障概念が進化し、これを支える二重保険戦略が生まれていることを直視し、この戦略と共存していく道を学んでいく必要がある。

ジョージ・W・ブッシュの世界像
―― 単独行動主義の思想と限界

2002年9月号

マイケル・ハーシュ/元ニューズウィーク誌外交エディター

現在のブッシュ政権は棍棒を片手に、(静かに話すのではなく)大声でわめきちらし、自分たちの価値については妥協を許さないと公言している。これではまるで学校の番長だ。問題は、ブッシュ政権が現実には、テロだけでなく、諸大国が平和に競争できるような世界をつくり上げることに対しても敵対的な行動をとっていることだ。圧倒的なパワーを国際的なコンセンサスへと変えていくことこそ、アメリカ外交の指針でなければならない。そうすれば、国際秩序をアメリカの命令ではなく、各国間の合意によって成立させることができるようになる。

統治危機が招く中国の憂鬱な未来
――世界の対中認識は間違っている

2002年9月号

ミンシン・ペイ
カーネギー国際平和財団シニア・アソシエイト

中国における腐敗の蔓延、地方官僚の士気の低下、エリート層のシニシズム、大衆に広がる幻滅などの社会現象は、統治能力の低下を示す典型的症状だ。いまや中国は、多くの点で、ブレジネフ時代のソビエトの政治的停滞と、スハルト時代のインドネシアでの情実資本主義と全く同じ病巣を抱え込んでいる。統治能力の悪化は、外国企業にとっての対中貿易・投資のコストやリスクを増大させ、現在の経済発展は程なく色あせたものとなり、その後には、長期的な停滞が待ち受けている。世界は、長い間受け入れてきたバラ色の中国の未来像、それも、おそらくは希望的観測が形づくった中国像を再検討する時期に来ている。

生物学的脅威に備えよ

2002年8月号

クリストファー・F・チャイバ クリントン政権国家安全保障会議スタッフ

公衆衛生体制の改善こそ、バイオテロ対策の基本である。病原体によっては潜伏期間が数週間にも及ぶので、バイオテロに真っ先に対応するのは消防、警察、軍隊ではなく、医療関係者となる可能性が高く、感染症を早期に発見し、対応できる公衆衛生監視体制の強化が急務となる。また、バイオテロであれ、自然発生型の感染症であれ、病原体は国境を超えて自由に移動する。当然、世界的な感染症発生の監視・対応メカニズムの改善、世界中で備蓄されている病原体の管理など、国際的監視枠組みの強化も不可欠である。

グローバル化というわれわれが共有する未来

2002年8月号

◎スピーカー アメリカ合衆国第四十二代大統領 ウィリアム・G・クリントン 米外交問題評議会会長  ◎司会 ピーター・ピーターソン

「市場経済のメカニズムが問題を引き起こしている」という反グローバル派の言い分は間違っている。真実は「市場経済のメカニズムだけでは世界の問題を解決できない」ということだ。グローバルな社会・教育・環境・経済政策なくして、グローバル経済は成立しない。われわれが真の相互依存世界を実現したいのなら、より統合されたグローバル・コミュニティーを形成しなければならない。

グローバル化の衝突

2002年8月号

スタンレー・ホフマン ハーバード大学教授

われわれが暮らしているのは、脆弱な統治制度と未発達の市民社会という欠陥を持つグローバル社会と、国家間の格差が大きく、破綻国家を内包する国際社会が重なりあう世界だ。統治制度も成熟した市民社会も持たないグローバル化は、平和ではなく、紛争と反発の種をまき散らし、生活の基盤を奪われた人々は、報復とテロ攻撃のなかに自尊心を見いだしている。テロリズムが、国家間関係とグローバル社会を結びつける血なまぐさい絆の役目を果たしているこの世界を、どうすればより住みやすくできるのだろうか。

アメリカの覇権という現実を直視せよ
――単極構造時代の機会と危機

2002年8月号

ステファン・G・ブルックス ダートマス・カレッジ助教授 ウイリアム・C・ウォールフォース ダートマス・カレッジ准教授

アメリカは、国力を構成するすべての領域で支配的な優位を確立しており、われわれは、アメリカの覇権による単極構造の世界にある。今後数十年にわたって覇権抗争を展開できる国が出現する可能性はほとんどないし、アメリカへの対抗バランスを形成するというレトリックも全く実体に欠ける。単極構造下の覇権国は、世界、そして自国にとっての長期的な視野に立った利益を模索するゆとりを手にしている。このゆとりを利用し、世界の問題が深刻化してから状況に対応するのではなく、そうした問題が出現しないように先手を打つことこそ、世界、アメリカ双方にとっての利益となろう。

グローバル化は世界を不幸にしたか
――スティグリッツ氏、ワシントンに行く

2002年8月号

カリフォルニア大学バークレー校政治経済学教授 バリー・エイケングリーン

スティグリッツの本は、途上国の現実を無視した単純な経済教義は状況を改善するどころか悪化させる危険があり、経済理論と現実に即して慎重に運用することが、健全な政策助言を行う上で非常に重要であることを示している。しかし、途上国に発言権やグローバルな統治への参加権を与えよといった、過度に単純な彼の政治的助言は問題がある。政治改革は、経済改革と同じように微妙で複雑なものである。

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