本土ミサイル防衛というアメリカの過ち
2000年9月号
アメリカが一方的にABM制限条約から離脱すれば、ロシアも戦略兵器の制限という義務に縛られることはあり得ず、現状でのアメリカの姿勢が覆されない限り、核軍縮プロセスそのものにピリオドが打たれることになる。NMDの配備は外部における脅威の変化への対応ではなく、軍事技術の進歩に歩調を合わせたものにすぎず、そこからうまみを得るのは、ルールなきゲームを裏で操る軍産複合体である。国際安全保障にとって戦略的安定の重要性は非常に大きく、当然、これを政治の手段、国内政治の道具、一方的な外交政策の対象としてはならない。