米欧対立の行方
2001年8月号
ヨーロッパ人は重荷を共有するのなら、決定責任も共有すべきだと感じている。自らのリーダーシップを通じて戦略を決めておきながら、そのリスクに伴う代価を支払おうとしないワシントンの姿勢ゆえに、アメリカは同盟諸国の尊敬や支持を失いつつある。アメリカが政治・軍事領域での問題を過度に重視し、特に潜在的な敵勢力探しに躍起になっているのに対して、ヨーロッパ側はもっぱら経済問題を気にかけており、その結果、脅威の認識をめぐる米欧間の考えが明確に違ってきている。EUの拡大という見通しやNATOの拡大によってEUの能力が強化され、北米とヨーロッパ諸国の外交利益が違ってきている以上、米欧パートナーシップを再定義する必要がある。