サウジ王国の苦しみ
2002年6月号
米メディアからは対米テロをめぐって批判され、国内でも、経済不振、そして社会的緊張と反米主義の高まりに悩まされるサウジアラビア政府はいまや身動きがとれなくなり、王族内の改革派も、保守派が牛耳る政治・宗教システムの囚われ人となっている。近代化と経済発展を促進しようとするアブドラ皇太子の決意は本物だが、その改革の規模とペースは、彼の意図ではなく、むしろ、矛盾に満ちたこの国の政治力学とグローバル化が呼び込む外的圧力の綱引きによって左右されることになろう。