統治危機が招く中国の憂鬱な未来
――世界の対中認識は間違っている
2002年9月号
中国における腐敗の蔓延、地方官僚の士気の低下、エリート層のシニシズム、大衆に広がる幻滅などの社会現象は、統治能力の低下を示す典型的症状だ。いまや中国は、多くの点で、ブレジネフ時代のソビエトの政治的停滞と、スハルト時代のインドネシアでの情実資本主義と全く同じ病巣を抱え込んでいる。統治能力の悪化は、外国企業にとっての対中貿易・投資のコストやリスクを増大させ、現在の経済発展は程なく色あせたものとなり、その後には、長期的な停滞が待ち受けている。世界は、長い間受け入れてきたバラ色の中国の未来像、それも、おそらくは希望的観測が形づくった中国像を再検討する時期に来ている。