1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

テーマに関する論文

CFRインタビュー
ベラルーシ大統領選挙の虚構

2006年3月号

ベラルーシ元最高会議議長 スタニスラフ・シュシケビッチ

ベラルーシにおける数少ない反体制派政治家の一人が元物理学者のスタニスラフ・シュシケビッチだ。1991年当時、ベラルーシ議会の議長だったシュシケビッチは、ソビエト崩壊後、最初の国家元首となる。その後、選挙での支持率は低くなったが、依然として彼はベラルーシの野党勢力を取り仕切る影響力を持っている。3月19日に行われたベラルーシの大統領選挙では、現職のルカシェンコ大統領に敗れた野党統一候補のミリンケビッチの選挙キャンペーンにも積極的に参加した。今回の選挙結果について、シュシケビッチは「完全に改ざんされている」という。www.cfr.orgはミンスクにある彼のアパートでシュシケビッチにインタビューした。聞き手はリオネル・ビーナー(www.cfr.orgのスタッフ・ライター)。邦訳文は英文からの抜粋・要約。全文(英文)は、www.cfr.orgからアクセスできる。

CFRブリーフィング
有志同盟による対イラン経済制裁か

2006年3月号

Robert McMahon(Deputy Editor, www.cfr.org)

イランの核開発問題が国連安保理に付託され、テヘランにウラン濃縮をやめさせるための経済制裁をとりまとめられるかどうかが注目を集めている。アメリカとヨーロッパの外交官たちは、イランに圧力をかけるには安保理として何らかの行動を示す必要があると考えているが、イランと経済的に深い絆をもつロシアと中国は、イラン危機への対処策として経済制裁を導入することを事実上拒否している。このため、国連安保理の枠外での経済制裁に向けた多国間連帯をまとめることを求める専門家もいる。例えば、核不拡散政策教育センター所長のヘンリー・ソコルスキーは、イラン経済にとって非常に重要な工作機械や物質を輸出しているイタリア、ドイツ、フランスの禁輸措置への協力が特に重要だとし、イランが国内用原油の精製について外国に依存していることに注目すべきだと指摘する。邦訳文は英文からの抜粋・要約。

人類は殺し合うサルか
 ――霊長類の平和と人類の平和(下)

2006年3月号

スタンフォード大学神経学・生物科学教授 ロバート・M・サポルスキー

協調する小集団内で暴力ざたが起きる可能性は低いが、一方でこの集団は対外的に大きな問題を引き起こす。実際、価値を共有する小規模の均質的な集団の存在は、社会全体の調和という点からみれば悪夢だし、アウトサイダーにとっても危険である。だが、アウトサイダーを他者として位置づけずに、小集団内の協調を維持する方法はある。一つの方法は交易だ。自発的な経済交流は利益を生み出すだけでなく、社会的紛争の発生を低下させる。集団間の境界線があいまいで、メンバーが入れ替わる分裂・融和型社会構造も、アウトサイダーを他者として位置づけずに、小集団の協調を維持するためのモデルになる。

CFRブリーフィング
東アジアで新たな役割を模索する韓国

2006年3月号

エスター・パン スタッフライター

最近の韓国はアメリカとは距離を置いて、中国との関係を深めようとし、北朝鮮との協調路線を進めている。北朝鮮問題をめぐるアメリカとの路線対立、駐韓米軍の規模削減合意など、韓国のアメリカ離れは着実に進行している。むしろ、朝鮮半島の統一を最終目的に掲げる韓国は、日中間の対立、米朝間の核開発問題をめぐる膠着状態を含む地域内の問題の仲裁、調停役を担うことを望んでいるようだ。台頭する中国、日中対立、アメリカ離れという東アジアの新環境の下、韓国は何をめざしているのか。

台湾の陳水扁総統が中国の「一つの中国」路線に抵抗するなか、中台は互いに相手への批判を強めつつある。だが、現状を危機的な状況にあると考える専門家はほとんどいない。陳が台湾独立にこだわるのは、総統としてうまく権力を行使できないためだとみる専門家も多い。立法院(議会)では国民党と親民党の野党連合が多数派であるため、陳の政治構想のほとんどは挫折し、結果、陳は政治的には身動きのとれない状況にある。台湾政治が二極化するなか、中国は台湾の野党陣営との接触を増やし、一方、独立を求める陳水扁政権は、台湾政治内での存在をアピールしようと中国を挑発するかのような行動をとっているが、現実には「レームダック」に陥りつつある。

CFRタスクフォース・リポート
イランの核開発危機を検証する

2006年3月号

パネリスト 米外交問題評議会(CFR) シニア・フェロー(科学技術担当) チャールズ・D・ファーガソン CFRシニア・フェロー(ロシア・ユーラシア担当) スティーブ・R・セスタノビッチ CFRシニア・フェロー(中東担当) レイ・タキー プロジェクト・ディレクター CFRシニア・フェロー リー・フェインシュタイン

イランは核開発と国家アイデンティティーを重ね合わせだしている。核開発はタカ派政権のアジェンダではなく、イランの国家的なアジェンダになりつつある。(R・タキー)

イランへの軍事攻撃の可能性は低い。……ブッシュ大統領は「イランの核の平和利用は認める」とすでに発言しているし、ロシアが示している妥協案にも前向きだからだ。(C・ファーガソン)

ロシアの目的はイランから(核開発放棄の)合意を引き出すことにあるのか、それとも玉虫色の発言を引き出すことにあるのか、はっきりしない。(S・セスタノビッチ)

NPTを踏みにじっているにもかかわらず、イランは「自分たちはNPTで認められた核の平和利用を行う権利をもつ」と争点をすり替えている。(L・フェインシュタイン)

日中関係はどこへ向かうのか
 ――政治化された歴史とライバル意識の行方

2006年3月号

ケント・E・カルダー  ジョンズ・ホプキンス大学ライシャワー・センター所長。

小泉首相の個人的、政治的思惑が何であるにせよ、そして、その意図がうまく理解されていないとしても、彼の靖国参拝は、国際的に日本の外交路線を大きく誤解させる火種をつくり出し、日本と中国の指導者が2国間の経済・安全保障関係を管理していくのをますます難しくしている。しかし、ポスト小泉の指導者は大きな機会を手にすることになる。新首相は、日中の首脳会談を復活させ、エネルギー・環境問題をめぐる中国との対話路線を強化し、世俗的な戦没者追悼施設建設の可能性を模索し、靖国神社への参拝を慎むことができる。こうした路線をとれば、日本は外交的な優位をつくり出せるし、日本と中国は、とかく政治的論争となりがちな歴史問題に気を奪われることなく、両国の関係の安定化という真の課題に取り組めるようになるだろう。

ワールド・エコノミック・アップデート  
――原油高騰、米経常赤字、保護主義を検証する

2006年3月号

スピーカー モルガン・スタンレー社 チーフエコノミスト スティーブン・ローチ
ドイツ銀行証券 チーフUSエコノミスト ピーター・フーパー
JPモルガン投資銀行 副理事長 ジョン・P・リプスキー
司会 ジョージタウン大学教授 ダニエル・K・タルーロ

「アメリカ議会は、ますますポピュリスト(大衆迎合)的な方向へと傾斜しており、きわめて保護主義的になっている。(中略)外国資本にこれほど依存しているというのに、アメリカの政治家たちは、われわれの命綱とも言える外国資本の流入を自ら止めようとしている」(S・ローチ)

「1970年代のオイルショックの原因は原油の『供給』が制限されたことによって起きたが、今回の価格高騰は原油の『需要』増に起因している。(中略)1バレル100ドル位まで高騰しないとオイルショック並の危機は起こらないと考えることもできる」(P・フーパー)

「私は、2006年は世界経済にとっての大きなターニングポイントになると考えている。主要国の経済成長が(経済のグローバル化に伴う変動期を経て)安定成長路線へと回帰しつつあるからだ」(J・P・リプスキー)

新エネルギー安保を構築せよ  
――現実に即した新パラダイムを

2006年3月号

ケンブリッジ・エネルギーリサーチ・ アソシエーツ(CERA)理事長 ダニエル・ヤーギン

先進国ではエネルギー安保とは十分な供給を妥当な価格で確保することと考えられているが、産油国、途上国にとっては別の意味合いをもつ。需要ショックを経験しているいまや、供給ショック、先進国の立場だけを前提とする現在の安保システムでは状況に対応できない。需要の高まりだけでなく、テロの脅威、産油国の政治的混乱、紛争、石油シーレーンでの海賊行為という問題も、エネルギー安保の脆弱性を高めている。中国とインドを先進国のエネルギー安保システムに参加させ、世界のすべてのサプライチェーンとインフラを守り、危機に際しては規制を柔軟に緩和し、国際情勢を十分に視野に入れた新たな安全保障構想を構築する必要がある。

膨大な石油資源を持ちながらも、治安問題、インフラの不備、さらには法環境の整備がまだできていないために、イラクは実質的に石油を輸入している状態にある。大手外国資本も、治安問題ゆえにイラク石油資源への投資にはまだ乗り気ではない。さらにやっかいなのは、石油からの歳入をどう分配するかについて国内的な対立があることだ。石油資源豊かな北部と南部では、連邦政府が管理するのは既存の油田だけなのか、これから発見される油田も含むのかをめぐって論争が起きているし、すでにスンニ派は、クルド人がバグダッドを迂回して、外国の石油企業と開発合意を交渉するのは憲法に反すると批判している。

Page Top