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テーマに関する論文

主要国の指導者はG8サミットに参加するために、7月にサンクトペテルブルクに集う。G8の閣僚レベル会合はすでに今年に入って数回実施されているが、主要国の指導者が集う年次サミットはこのフォーラムのハイライトだ。今年は議長国としてロシアがはじめてG8のホスト国になる。しかし、民主化からの後退をみせ、権威主義路線を強めるロシアのメンバーシップを疑問視する声が各方面から挙がっている。米議会ではサミットのボイコットを求める動きもある。また、中国とインドを除外したG8では、もはや現在の世界の現実をうまく反映できないし、すでにG8は時代遅れの存在で陳腐化しているという見方もある。エネルギー、教育、感染症などが今回のアジェンダとしてすでに特定されているが、真のアジェンダは、ロシアの政治路線とG8の存在理由そのものにあるとみる専門家もいる。

CFRミーティング
「ハイテク・チャイナ」の課題と意味合い
 ――中国の技術開発力を検証する

2006年5月号

スピーカー
ウィリアム・T・アーチー  米エレクトロニクス協会会長兼最高経営責任者
アダム・シーガル  米外交問題評議会シニア・フェロー
司会
アン・G・K・ソロモン  戦略国際問題研究所(CSIS) シニア・アドバイザー

シリコンバレーで5年から7年働いた経験をもつ中国人、カーネギーメロン大学で科学技術を教えていた中国人などがいまや母国へと帰国している。帰国後、彼らは自分で研究所や企業を立ち上げるか、中国に進出している多国籍企業で働いている。(A・シーガル)

中国側からの技術移転を求める圧力は大きい。不本意ながら、米企業が要請に応じる場合もあれば、拒絶する場合もある。日本企業は米企業よりも、中国側の技術移転要請に強く抵抗する傾向がある。日本企業が、どの程度抵抗し続けられるかはよくわからない。(W・アーチー)

原油価格を政策で低下させよ  ――環境規制の一時緩和とエタノール混合ガソリンを

2006年5月号

フィリップ・K・バレジャー 国際経済研究所(IIE)シニア・フェロー

大気汚染緩和のために、例えば、カリフォルニアの環境規制当局は、環境を特に悪化させるような、発ガン性物質であるベンゼンや、硫黄化合物をガソリンから取り除くことを義務付けている。「問題は、環境基準をクリアできるようなガソリンを作り出せる精製所が少なく、これがガソリンの供給を逼迫させている原因の一つとなっていることだ」と国際経済研究所の石油問題の専門家、フィリップ・K・バレジャーは指摘する。今年もまたハリケーンで精油所に被害が出るようなら、またガソリンの供給が乱れる。だが「環境規制を一時的に緩和させれば、供給の逼迫を回避できる」とバレジャーは言う。また、「ガソリンに25%のエタノール含有を義務付けるだけで、一日当たり250万~300万バレルの原油消費を節約することができ、その結果、原油価格の低下にも繋がる」と指摘した。聞き手は、バーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)

ブッシュ政権が北朝鮮との平和条約交渉の可能性を示唆したことで、北朝鮮の核問題をめぐる外交的膠着状態が打開されるかに思われたが、専門家の多くは、そうした並行協議で貿易、人権、紙幣偽造などの厄介な問題が解決しやすくなるとは考えていない。むしろ、「アメリカに次期政権が誕生するまで待つのが北朝鮮の戦略のようだ」とみる専門家もいる。中国と韓国が北朝鮮に対する強硬路線をとることに難色を示すなか、平壌は交渉に参加するか離脱するかを勝手に決め、離脱した場合には、交渉復帰の条件を示すというやり方を繰り返している。「ゼロサム的な世界観しか持っていない北朝鮮から色よい返事を引き出すには、われわれの目的のすべてを断念し、彼らの目的のすべてを受け入れなければならない」と北朝鮮の頑迷さに、半ばさじを投げる専門家もいる。

イランの核開発に打つ手はあるのか
――外交、軍事攻撃、あるいは封じ込めか

2006年5月号

◎スピーカー
リュエル・マーク・ゲレット アメリカン・エンタープライズ研究所レジデントフェロー
ケニース・M・ポラック ブルッキングス研究所セバン中東研究センター所長
◎司会
リチャード・N・ハース 米外交問題評議会(CFR)会長

「イランを軍事攻撃できるかどうか。その答えはイエス。攻撃後のイラン国内状況は、当初は今よりも悪くなるし、反体制派や改革主義者は抑圧される。長期的に大きな反体制運動が起きるか。答えはイエス。対米テロは起きるか。これは間違いなく起きる」(R・ゲレット)

「イランの核施設は大規模なトンネルで繋がれていることもわかっている。このトンネルを破壊するのは非常に難しい。ペンタゴンでこのトンネルを破壊するにはどうすればよいかが研究されているが、これを破壊するには、地表貫通型核兵器が必要だと言われている」(K・ポラック)

サダム・フセインの妄想
――旧イラク軍高官たちが証言する

2006年5月号

ケビン・ウッド 防衛アナリスト
ジェームズ・レーシー 米統合軍司令部軍事分析官
ウィリアムソン・マレー 米海軍大学歴史学客員教授

2003年4月、バグダッドは陥落し、歴史的に最も秘密主義で残忍な政権の実態を解明する機会が生まれた。米統合軍司令部は、かつてはアクセスできなかったイラク政府文書を基に、サダム・フセイン政権がどのように機能し、行動していたかをテーマとする検証を命じた。拘束された数十人の政治・軍事指導者への聞き取り、数十万の公文書を基盤とする2年がかりのプロジェクトのリポートのポイントをここに掲載する。

ブッシュ政権が北朝鮮との平和条約交渉の可能性を示唆したことで、北朝鮮の核問題をめぐる外交的膠着状態が打開されるかに思われたが、専門家の多くは、そうした並行協議で貿易、人権、紙幣偽造などの厄介な問題が解決しやすくなるとは考えていない。むしろ、「アメリカに次期政権が誕生するまで待つのが北朝鮮の戦略のようだ」とみる専門家もいる。中国と韓国が北朝鮮に対する強硬路線をとることに難色を示すなか、平壌は交渉に参加するか離脱するかを勝手に決め、離脱した場合には、交渉復帰の条件を示すというやり方を繰り返している。「ゼロサム的な世界観しか持っていない北朝鮮から色よい返事を引き出すには、われわれの目的のすべてを断念し、彼らの目的のすべてを受け入れなければならない」と北朝鮮の頑迷さに、半ばさじを投げる専門家もいる。

核の平和利用、石油シーレーンの安全確保などをめぐってアメリカとインドが急接近しつつある。一方、中国をこれまで安全保障上の脅威とみなしてきたインドと中国の関係も経済・貿易を軸に改善へと向かいつつある。対中封じ込めのためにアメリカはインドとの緊密な関係を形成しようとしていると考える専門家もいれば、インドには対中封じ込めに加担する気はないし、そもそも、アメリカにも対中封じ込めの意図はないと指摘する専門家もいる。中国とインドの台頭によって急激に動きだした南アジア秩序再編の流れを検証する。

イラク・パースペクティブ・プロジェクト
―― サダム・フセインの幻想

2006年4月号

ケビン・ウッド/防衛アナリスト
ジェームズ・レーシー/米統合軍司令部軍事アナリスト
ウィリアムソン・マレー/米海軍大学歴史学特別客員教授
マイケル・ピース/「イラク・パースペクティブ・プロジェクト」共同執筆者
マーク・スタウト/「イラク・パースペクティブ・プロジェクト」共同執筆者

米統合軍司令部は、2004年に作戦分析統合センター(JCOA)に、イラク戦争中にサダム・フセインが何を考えて、どのように行動していたかを分析するように命じ、その分析結果が『イラク・パースペクティブ・プロジェクト――サダム政権高官はイラク自由作戦をどうみていたか』という200ページを超えるリポートにまとめられ、2006年3月24日に公表された。フォーリン・アフェアーズ英語版5・6月号には、JCOAリポートの筆者であるケビン・ウッド、ジェームズ・レーシー、ウィリアムソン・マレーがその主要なポイントを抜粋し、まとめなおした「サダムの幻想」が掲載されている。ケビン・ウッドをプロジェクトリーダーとするイラク・プロスペクティブ・プロジェクトの分析チームは、イラクに関して公開されている情報を入念に調べあげた上で、イラクへ向かい、現地でイラク政府・軍高官の聞き取りを行うとともに、押収したイラク政府文書を精査した上で、この2年がかりのプロジェクトを分析報告として発表している。邦訳分は、フォーリン・アフェアーズには掲載されていない、米統合軍司令部JCOAリポート「イラク・パースペクティブ・プロジェクト」の統括部分からの抜粋・要約。日本語版では次号(6月10日発売5月号)に「サダム・フセインの幻想」の全文を掲載予定。(フォーリン・アフェアーズ日本語版編集部)

中国は平和的台頭構想の下、東南アジア諸国連合と友好協力条約を結び、南米やアフリカとの外交関係を強化し、ベトナム、マレーシア、フィリピンとの領有権問題も解決した。さらに、パキスタンとの強固な関係を維持し、インドやロシアとも積極的に交渉している。平和的台頭構想は大きな成功を収めつつある。だが、中国の農村部では社会不満が高まり、政府も2005年だけで87000件のデモが起きていることを認めている。土地の接収、所得格差、地方役人の腐敗などがこうしたデモの背景にある。一方で北京は、日本や台湾に対しては、一転、強硬な外交路線で臨んでいる。特に中国が対日強硬路線をとる理由の一つとして、インドを別とすれば、アジア諸国のなかで中国の台頭を抑え込む力を持っているのが日本だけであることを指摘する専門家もいる。「アメリカが今後もアジアに関心を寄せなければ、いずれ中国か日本がその空白をうめることになる」と日中の覇権競争を示唆する専門家もいる。

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