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テーマに関する論文

Classic Selection
オフショアリングが誘発する次なる産業革命

2006年4月号

アラン・S・ブラインダー プリンストン大学教授

多くの人々は、教育レベル(とスキルのレベル)が高い人々と低い人々の間の区別、つまり、医師とテレホンオペレーターの違いに象徴される労働市場における重要な雇用区分は今も存在し、今後もなくならないと考えている。だがこうした見方は間違っているかもしれない。むしろ雇用に関する今後の重要な区分は、(インターネットなど)有線や無線での電子送信によって質をほとんど低下させることなく仕事をオフショアリング(外国へアウトソース)できる仕事か、そうでない仕事かで分かれることになる。先進国にとって、オフショアリングは第三の産業革命と呼ぶにふさわしい産業構造の変化、そして社会的変革を呼び込むことになるだろう。

CFRインタビュー
イランの核開発を警戒するサウジアラビア

2006年4月号

レイチェル・ブロンソン CFRシニア・フェロー

サウジアラビアはかつてはイスラエルを念頭に、中東の非核化を唱えていたが、いまや東方のイランを念頭に、ペルシャ湾岸の非核化を求めている。「リヤドはテヘラン、そして、アフマディネジャド大統領の行動を非常に心配している」と語るレイチェル・ブロンソン(CFRシニア・フェロー)は、歴史的にみても、アフガニスタンでの聖戦、最終的に9・11へとつながっていった1980年代以降の「サウジの保守化路線」は、革命イランに対抗するためにサウジの社会的な結束を強化するという意図に導かれていたと指摘する。核開発問題だけでなく、「アフガニスタン、イラクでの影響力を拡大したイランが、レバノンだけでなく、パレスチナ(ハマス政権)への影響力を高めつつある」ことをサウジは特に憂慮していると同氏は状況を分析する。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

CFRミーティング
イランの核開発路線の意図は何か
―― 分裂する政府と社会

2006年4月号

パトリック・クローソン スピーカー 近東政策ワシントン研究所 研究担当副所長
マフムード・サリオガラム  イラン国立大学国際関係学教授
カリム・サジャドプアー 国際危機グループ
デボラ・アモス 司会 米公共ラジオ放送(NPR) 

「やっかいなのは、イランの大統領が、欧米との摩擦など気にする必要はないし、むしろ、1979年のイスラム革命の熱情を今に呼び起こすには対立路線が好都合だと考えていることだ」。(P・クローソン)

「大多数のイラン人は経済発展を目指し、経済国家、それも国際的に認知される経済国家になるべきだと考えている。したがって、概念的にも知的にも、イランの政府と社会が何をもっとも重要と考えるかについて大きな開きがある」。(M・サリオガラム)

「現在テヘランは精神分裂症的な状況に陥っている。原油価格の高騰を前に、彼らは大胆になっているが、一方で自分たちの弱さも理解しており、懸念を募らせている部分もある。イラン政府の官僚と話をすると『われわれは米軍に包囲されていることを理解している』と言う」。(K・サジャドプアー)

CFRブリーフィング
戦争から3年を経たイラクを検証する

2006年3月号

ヒラリー・シンノット 前暫定占領当局(CPA)南部担当コーディネター。英国国際戦略研究所コンサルティング・シニアフェロー ニール・ローゼン ニュー・アメリカ財団研究員、『イラクにおける「殉教者」の勝利』が近く出版予定。 マイケル・オハンロン ブルッキングス研究所シニア・フェロー マリナ・オッタウェイ カーネギー国際平和財団シニア・アソシエーツ マイケル・ルービン 中東クォータリー誌編集長、アメリカン・エンタープライズ研究所のレジデントスカラー 

ゲリラ勢力がシーア派の聖地であるアスカリ聖廟(せいびょう)を爆破したことをきっかけに、イラク戦争後最悪の紛争がイランで発生し、すでに数百人のイラク人が犠牲になっている。「イラクは低強度紛争状態にある」とみなす専門家も多い。一方で、すでにイラクでの流れは変化し、スンニ派、シーア派の武装組織の攻撃の応酬がすでにかつてのレバノンのような暴力の連鎖と無秩序をつくり出しているとみる専門家もいる。ここで考えるべきは、「米軍部隊がバグダッドに攻め入ってから3年、ワシントンがこの戦争に勝利しつつあるのか、それとも敗れつつあるのか」という設問だろう。情勢はさらなる混乱へと向かうのか、それとも、アメリカの行動には関係なく、何とか管理できる紛争、低強度紛争が今後も続くのか。

CFRインタビュー
ハマスに穏健化の兆しなし

2006年3月号

近東政策ワシントン研究所上席研究員 マシュー・レビット

ハマスは、軍事部門と政治部門をもつレバノンのヒズボラをモデルに活動を進めていくことをすでに決めており、政権を担うからといってハマスが今後穏健化していくとは考えられない。テロ問題の専門家マシュー・レビットは、その証拠として、ハマスが、テロ部門に加えて選挙の数カ月前に立ち上げを表明した常設軍事部門のカッサム旅団は、南レバノンにおけるヒズボラの常設軍と似ているし、アル・アクサ・テレビの開局計画も、ヒズボラの衛星テレビ局・アルマナルを真似たものだと指摘する。「ハマスは権力を利用して、西岸とガザ地区における政治プレイヤーとしての地位固めをしたいと考えており、パレスチナの治安部隊も自分たちの軍事部門に組み込んでいくつもりだ」と今後を予測するレビットは、いずれパレスチナの有権者が、ハマスの路線を支持するのか、それとも、「パレスチナに平和と繁栄をもたらすような路線」を支持するのかを選択することになるとコメントした。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

CFRインタビュー
ベラルーシ大統領選挙の虚構

2006年3月号

ベラルーシ元最高会議議長 スタニスラフ・シュシケビッチ

ベラルーシにおける数少ない反体制派政治家の一人が元物理学者のスタニスラフ・シュシケビッチだ。1991年当時、ベラルーシ議会の議長だったシュシケビッチは、ソビエト崩壊後、最初の国家元首となる。その後、選挙での支持率は低くなったが、依然として彼はベラルーシの野党勢力を取り仕切る影響力を持っている。3月19日に行われたベラルーシの大統領選挙では、現職のルカシェンコ大統領に敗れた野党統一候補のミリンケビッチの選挙キャンペーンにも積極的に参加した。今回の選挙結果について、シュシケビッチは「完全に改ざんされている」という。www.cfr.orgはミンスクにある彼のアパートでシュシケビッチにインタビューした。聞き手はリオネル・ビーナー(www.cfr.orgのスタッフ・ライター)。邦訳文は英文からの抜粋・要約。全文(英文)は、www.cfr.orgからアクセスできる。

CFRブリーフィング
有志同盟による対イラン経済制裁か

2006年3月号

Robert McMahon(Deputy Editor, www.cfr.org)

イランの核開発問題が国連安保理に付託され、テヘランにウラン濃縮をやめさせるための経済制裁をとりまとめられるかどうかが注目を集めている。アメリカとヨーロッパの外交官たちは、イランに圧力をかけるには安保理として何らかの行動を示す必要があると考えているが、イランと経済的に深い絆をもつロシアと中国は、イラン危機への対処策として経済制裁を導入することを事実上拒否している。このため、国連安保理の枠外での経済制裁に向けた多国間連帯をまとめることを求める専門家もいる。例えば、核不拡散政策教育センター所長のヘンリー・ソコルスキーは、イラン経済にとって非常に重要な工作機械や物質を輸出しているイタリア、ドイツ、フランスの禁輸措置への協力が特に重要だとし、イランが国内用原油の精製について外国に依存していることに注目すべきだと指摘する。邦訳文は英文からの抜粋・要約。

人類は殺し合うサルか
 ――霊長類の平和と人類の平和(下)

2006年3月号

スタンフォード大学神経学・生物科学教授 ロバート・M・サポルスキー

協調する小集団内で暴力ざたが起きる可能性は低いが、一方でこの集団は対外的に大きな問題を引き起こす。実際、価値を共有する小規模の均質的な集団の存在は、社会全体の調和という点からみれば悪夢だし、アウトサイダーにとっても危険である。だが、アウトサイダーを他者として位置づけずに、小集団内の協調を維持する方法はある。一つの方法は交易だ。自発的な経済交流は利益を生み出すだけでなく、社会的紛争の発生を低下させる。集団間の境界線があいまいで、メンバーが入れ替わる分裂・融和型社会構造も、アウトサイダーを他者として位置づけずに、小集団の協調を維持するためのモデルになる。

CFRブリーフィング
東アジアで新たな役割を模索する韓国

2006年3月号

エスター・パン スタッフライター

最近の韓国はアメリカとは距離を置いて、中国との関係を深めようとし、北朝鮮との協調路線を進めている。北朝鮮問題をめぐるアメリカとの路線対立、駐韓米軍の規模削減合意など、韓国のアメリカ離れは着実に進行している。むしろ、朝鮮半島の統一を最終目的に掲げる韓国は、日中間の対立、米朝間の核開発問題をめぐる膠着状態を含む地域内の問題の仲裁、調停役を担うことを望んでいるようだ。台頭する中国、日中対立、アメリカ離れという東アジアの新環境の下、韓国は何をめざしているのか。

台湾の陳水扁総統が中国の「一つの中国」路線に抵抗するなか、中台は互いに相手への批判を強めつつある。だが、現状を危機的な状況にあると考える専門家はほとんどいない。陳が台湾独立にこだわるのは、総統としてうまく権力を行使できないためだとみる専門家も多い。立法院(議会)では国民党と親民党の野党連合が多数派であるため、陳の政治構想のほとんどは挫折し、結果、陳は政治的には身動きのとれない状況にある。台湾政治が二極化するなか、中国は台湾の野党陣営との接触を増やし、一方、独立を求める陳水扁政権は、台湾政治内での存在をアピールしようと中国を挑発するかのような行動をとっているが、現実には「レームダック」に陥りつつある。

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