中国の民主化、崩壊シナリオを唱える人がいる一方で、現体制の存続を予測する人もいる。農村部の貧困や不良債権問題など、山積する課題に直面しているとはいえ、現体制が崩壊する気配はないし、一方で、民主化プロセスが進展する様子もない。 実際、中国の実験は、近代化路線を導入しても、権威主義体制の基盤を損なうことなく繁栄を手にできることを実証しつつあるのかもしれない。カザフスタンからイランまでの独裁政権が、中国の状況を、固唾をのんで見守っているわけはここにある。中国の歴史の流れを大きく変化させるものがあるとすれば、それは、内的要因よりも、むしろ、外からの衝撃かもしれない。アメリカ経済が衰退すれば、経済成長を前提とする中国における社会契約が崩壊してしまうかもしれないし、朝鮮半島で戦争が起き、感染症が蔓延した場合も同様に流れは大きく変化する。