新しい中東
――アメリカの時代の終わりとイランの台頭
2006年11月号
第1次湾岸戦争が中東におけるアメリカの時代を開いたのに対して、ワシントンが自ら戦争の道を選択した第2次湾岸戦争は、中東におけるアメリカの時代を唐突に終わりへと向かわせた。次なる中東秩序では、外部勢力の影響力は穏当なレベルにとどまり、現地の勢力、つまりイランが大きな力を持つことになる。イラクに対してだけでなく、ハマスとヒズボラに対しても大きな影響力を持つイランは、自らのイメージ通りに中東をつくり替えようとする野心と、その目的を実現するだけの力を持っている。「平和で繁栄し、民主的なヨーロッパのような地域へと中東を生まれ変わらせる」というビジョンが実現されることはもうあり得ない。より可能性が高いのは、アメリカと世界、そして自分の地域を大いに苦しめるような「新しい中東」が誕生することだ。