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テーマに関する論文

CFRインタビュー
ムシャラフは選挙実施に向けた
ロードマップを早急に示すべきだ

2007年11月号

ダニエル・マーキー 米外交問題評議会シニア・フェロー (インド、パキスタン、南アジア担当)

ムシャラフ大統領が「不本意ながら」、今回の非常事態宣言の発令という措置をとったのは真実かもしれない。実際、文民大統領となり、軍の職を辞任し、軍参謀長に信頼できる人物を据えた上で、ベナジル・ブットのパキスタン人民党(PPP)も含めた諸政党が参加する国政選挙を行うことを視野に入れた長期的な計画をムシャラフは用意していた。「だが、これを困難にするような事態が重なって起きた」とダニエル・マーキーは指摘する。「連邦直轄部族地域(FATA)とその境界地域で紛争が起きるとともに、全国レベルで暴力事件が多発するようになった」ことに加えて、パキスタン最高裁判所がムシャラフ大統領の再選の正統性を否定する判断を下すという見通しも、今回の非常事態宣言の発令を誘発した原因となったと同氏は言う。だが、混乱のなかにあるとはいえ、選挙までのロードマップを示せば、パキスタンの政治勢力も希望を見いだすようになり、「イスラム過激派と手を組んで反政府行動に出るより、議会選挙に参加するほうを選ぶようになる」とみる同氏は、選挙の実施こそ、イスラム過激派と反政府政治勢力を分断し、パキスタンが混沌へと陥っていくのを回避する唯一の方法だと強調した。聞き手は、バーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

キャンペーン2008
私が大統領に選ばれれば

2007年11月号

ヒラリー・ロドハム・クリントン 民主党予備選大統領候補

私が大統領になれば、……政権発足後60日以内に、米軍を本国へと帰還させるための現実的なプランをまとめるように統合参謀本部議長、国防長官、国家安全保障会議に命じる。……新しいアメリカを世界に再デビューさせることで機会を生かしてみせる。私はアメリカのパワーを修復し、われわれが恐れる世界から自国を守るだけでなく、われわれが望む世界を構築することに取り組んでいく。われわれは安全と機会がともに存在し、拡大していくような世界、より安全で、繁栄し、正義に満ちた世界をつくらなければならない。(H・R・クリントン)

アジアの安定と平和を維持するには
――多国間フォーラムと自由貿易構想の価値に目を向けよ

2007年11月号

ビクター・D・チャ/前米国家安全保障会議アジア部長

歴史的にみても、アメリカが中国を封じ込めようと日本との関係を強化したり、古くからの同盟諸国や小規模な地域国家に配慮せずに中国との関係強化を模索したりすると、アジアの秩序は常に緊張したものだ。だが今日の状況は、米中が協調関係にあり、日米同盟は堅固な基盤を共有し、日本と中国の関係も改善に向かっている。そこには、見事な勢力均衡が成立している。もちろん、北朝鮮問題が残されており、いかなる政権がワシントンに誕生しようと、核武装した北朝鮮との外交関係の正常化に応じたり、平和条約を結んだりすることはあり得ない。一方、平壌が本気で核を放棄するつもりなら、6者協議は2008年には核の解体という最終局面に進む。今後必要になるアジアの安全保障構造を形作るには、アメリカは、東南アジア諸国へのさらなる関与を行い、2国間関係を強化するとともに、北東アジアでの多国間安全保障フォーラムを構築し、相互に関連する2国間、3国間、多国間の制度ネットワークを形成しなければならない。

CFRディベート
原子力エネルギーは地球温暖化対策の切り札になるか

2007年11月号

マイケル・マリオット 原子力情報資源サービス所長
スティーブ・ケレケス 原子力エネルギー研究所広報部シニア・ディレクター

環境保護派の多くにとって、原子力発電という言葉はいまも呪いの言葉に等しい。彼らの多くは、原子力発電所が環境に与えるダメージをいまも心配している。だがここにきて、地球温暖化対策という新しい基準が政策領域に持ち込まれたことで、環境保護の観点からも二酸化炭素を排出しない原子力発電が見直されつつある。だが、温室効果ガスを排出しないとはいえ、原子力発電には原子炉の安全性、放射性廃棄物、核拡散リスク、コストの問題がともなうと考える専門家もいる。環境をこれ以上汚染せずに、電力の必要性をいかにして満たしていくのか。それは、原子力発電なのか、それとも、同様に温室効果ガスを排出しない風力やソーラー(太陽光)エネルギーなどの再生可能エネルギーなのか。あるいは、原子力と再生可能エネルギーの組み合わせなのか。二人の専門家が議論する、エネルギーと地球環境の将来とは。

いまやアメリカのパワーはかつてなく高まっているが、一方で深刻な課題にも直面している。今日われわれは、脅威に対抗するのではなく、そうした脅威が出現するのを阻止するという重要な目標に資源を投入しなければならない。われわれが強く誠実であり、安定を維持できれば、より期待に満ちた将来を構築できる。アメリカの国家安全保障政策は、この目的を実現するために設計しなければいけない。世界のリーダーとしてのアメリカの役割を取り戻し、再び、他国の範になれるような国になるために、われわれの持てる力をフルに発揮しなければならない。

変化するアメリカのイラク政策
 ――シーア派政権の支持からアラブ・スンニ派との連帯へ

2007年10月号

リチャード・N・ハース 米外交問題評議会会長

アメリカのイラク政策はすでにシフトしている。ある程度うまくいっているクルド人地域の成功を固め、イラク南部を統御しようとしているシーア派の武装勢力やイラン人の活動にはある程度目をつぶり、イラクの中央政府ではなく、スンニ派をもり立てる路線へとシフトしている。対イラク政策の変更をこう指摘するリチャード・ハース米外交問題評議会(CFR)会長は、この路線は対イラン政策にもうまくフィットすると言う。イラクのスンニ派をもり立てる路線をとれば、イラクのスンニ派だけでなく、サウジアラビアやエジプトとの連帯を組むことができ、イラクで活動するイラン人やその傀儡勢力を締め出しやすい環境がつくれる。同氏は、ワシントンは、「イラクにおいて地域全体を視野に入れた戦略をとり始めている」とコメントした。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.org のコンサルティング・エディター)。

CFRインタビュー
アフガニスタンは混乱の極みにある

2007年10月号

ジョン・キリアコウ 元米中央情報局テロ対策担当官

首都カブールでは社会が崩壊しつつある。伝統的にカブールでは紛争の解決や交渉をめぐって部族が大きな役割を果たしてきたが、いまや犯罪が蔓延し、誘拐、銃撃戦、武装集団による窃盗、強盗が横行し、路上での暴力が日常化している。米中央情報局(CIA)でテロ対策を担当し、1998年から2004年までパキスタンで活動したジョン・キリアコウによれば、「タリバーンとアルカイダがアフガニスタン南部のヘルマンド州とカンダハル州で台頭しているだけでなく、カンダハル出身の東部のパシュトゥン人たちは政府を全く信頼しておらず、武器をとり、すでにタリバーンとして活動している。アフガニスタン内にタリバーンとアルカイダが聖域を確保し、米軍の戦力がイラクに奪われ、北大西洋条約機構(NATO)部隊が、再建活動にあたる国際機関や非政府組織(NGO)スタッフの安全確保だけで身動きができずにいることが、治安を乱し、タリバーンの台頭を招いていると指摘した。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.org のコンサルティング・エディター)。

Review Essay
長期戦に備えた戦略と財政
 ――国防と予算のバランス

2007年10月号

アーロン・L・フリードバーグ 前米副大統領補佐官(国家安全保障問題担当)

アメリカは対テロ戦争を戦うだけでなく、大規模な通常戦力に加えて、いずれ数発の核兵器を保有するかもしれない中規模国家の脅威にも備えなければならない。さらに将来に目をやれば、中国が、急速な経済成長と技術革新を追い風に、アメリカにとって侮れないライバルとして台頭し、アジアにおけるアメリカの軍事的優位に挑戦してくるかもしれない……。こうした長期戦に備えるには、現状批判から戦略を策定するのではなく、長期的な脅威、およびそれに対応するための軍事力整備に必要な財政基盤を包括的にとらえる必要がある。次期大統領にとって、長期と短期の目標・戦略と財政の縛りがつくりだす矛盾を解決することは、非常に大きな課題となるはずだ。

CFRインタビュー
拡大・激化するパキスタンの過激主義

2007年10月号

リチャード・N・ハース 米外交問題評議会会長

「パキスタンは軍人が支配する国から、元軍人が支配する国へと変貌しようとしており、ムシャラフ大統領が次の任期において軍服を身につけることはないはずだ。……逆説めいた言い方だが、今後も軍部がパキスタン社会の中枢勢力であり続けると考えられる以上、(軍の反発がなければ)政治体制の移行がかなり進むのではないかと思う」。パキスタンの政治改革の行方をこのように前向きに評価しつつも、いまやパキスタンは「タリバーン化」という現象に直面していると米外交問題評議会(CFR)のリチャード・ハース会長は警告する。過激派とテロリストはすでにパキスタン西部と北西辺境州に深く根を下ろしている。心配なのは、パキスタンの中核である都市部へとこうした過激主義が拡大していることで、宗教施設「ラール・マスジード」での占拠事件や、最近におけるカラチでのテロ事件はその具体例だと指摘した同氏は、「パキスタンの現実は、かつてのイラクやアフガニスタンを想起させるものへとしだいに変化しつつある」とコメントした。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.org のコンサルティング・エディター)。

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