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企業による大規模農業を推進し、遺伝子組み換え(GM)作物の禁止措置を解除し、アメリカのエタノール生産への補助金を打ち切れば、食糧価格を短期的にも、中・長期的にも低下させることができる。だがそれを妨げているものがある。昔ながらの農村生活の保護、オーガニックなライフスタイルを求める先進国の古い時代への郷愁が途上国に大規模農業の導入を求める路線を概念的に阻み、エネルギー自給という政治スローガンと農業団体のロビイングがアメリカのエタノール生産への補助金制度の打ち切りを阻み、そして、ヨーロッパの農業保護派、反米左派、健康マニアの連帯が、ヨーロッパやアフリカでのGM作物禁止措置の解除を阻んでいる。こうした障害を取り除いていくには、貧困国が食糧危機にいかに苦しんでいるかを先進国の市民に強く訴えて行く必要がある。食糧価格がすぐに下がらなければ、そして下がり続けなければ、途上国の貧しい家庭の子どもたちは飢え、その未来までもが大きく傷ついてしまうからだ。