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テーマに関する論文

CFR ブリーフィング
ベトナム経済の変調が教える 新興市場の課題

2009年2月号

ジュリー・ギンスバーグ 米外交問題評議会スタッフ

ベトナムが世界貿易機関(WTO)への加盟を果たしたのは2007年1月11日。150番目のWTO加盟国として、重要な第一歩を踏み出した当時のベトナム経済は非常にうまくいっていた。2006年の国内総生産(GDP)の伸び率は8・2%だったし、ベトナムがアジア経済の輝ける成功例として引き合いに出されることも多かった。だが、WTO加盟に続く好景気は短命に終わる。ベトナムの株価は、2007年3月に最高値をつけて以降は、大きく下落し、2008年11月までには2007年のピーク時に比べ70%以上も価値を失っていた。2008年のGDP成長率も7%を下回ると予測されている。実際、ベトナム経済のブームとバスト、そして金融部門の脆弱性は、グローバルな金融危機の拡大に伴って新興市場が直面するであろう課題を浮き彫りにしているとみなすことができる。

グローバル金融危機が途上国に与える影響

2009年2月号

スピーカー
ナンシー・バードサール  グローバル開発センター会長
ダニー・M・ライプチガー  世界銀行・貧困削減・経済管理担当副総裁
司会
ジェラルド・セイブ ウォールストリート・ジャーナル紙 エグゼクティブ・エディター

公的債務の返済期限を延長できた国の多くは、現時点では融資を強く求めているわけではないが、2009年の夏か秋には返済期限を迎え、再ファイナンスをしなければならなくなる。このときに、どのようなことが起きるかを考える必要がある。……再ファイナンスを迫られた債務国が国際金融機関に融資を求めて殺到する危険は大きい。(バードサール)

減少しつつあるインフラ投資のための外資を呼び込むために、途上国は何ができるだろうか。リセッションの影響を受ける人々へのセーフティネット(社会保障策)を強化するために、2009年に途上国は何ができるだろうか。しかし、社会保障策をとれば、必ず財政コストが増大する。途上国の多くの財務大臣は2009年をどうやって乗り切るか、頭を悩ませている。(ライプチガー)

Classic Selection 2009
21世紀の国家パワーはいかに ネットワークを形成するかで決まる
――新時代におけるアメリカ優位の源泉

2009年2月号

アン=マリー・スローター  プリンストン大学ウッドロー・ウィルソン公共・ 国際問題大学院学院長

問題を前にして、誰と連帯してどのような措置をとるべきか。この点を理解していることが21世紀における外交の要諦である。現在の世界では、いかに他とつながっているかでパワーが左右される。しかも21世紀のネットワーク化した世界は国家の上にも下にも存在し、また国家と国家の間にも存在する。そのような世界で中心的プレーヤーとなり、グローバルなアジェンダを設定し、イノベーションと持続可能な成長の中核を担うのは、最大のネットワークをもつ国である。どれだけネットワークを持っているかによってパワーが決まるとすれば、リーダーシップの本質は共有する問題を解決するために、いかにネットワークを形作っていくかにある。ネットワーク化された世界で重要なのは、(国家の)相対的パワーではなく、濃密なグローバルウェブのどれだけ中心に身を置けるかにある。

グローバル化に即した新ブレトンウッズ体制とは

2009年2月号

アディティヤ・マトー
世界銀行グループ・リードエコノミスト
アルビンド・スブラマニアン
ピーターソン国際経済研究所シニア・フェロー

ドーハ・ラウンドを蘇生させようと試みるのはもはや見当違いかもしれない。ドーハで俎上に載せられているアジェンダは、グローバル経済の統合が進むなかで生じている今日的アジェンダとの関連をもはや失いつつあるからだ。いまやコモディティ価格が激しく変動し、中産階級の生活を脅かしている。金融は不安定化し、環境問題も深刻になっている。これらはきわめてグローバルな問題であり、多国間交渉による対応が必要だ。状況を前へと進めて行くには、新たなブレトンウッズ体制に向けた仕切り直しを行い、ドーハよりも野心的なアジェンダを設定し、世界貿易機関(WTO)だけでなく、より多くの国際機関をアジェンダに関与させるようにする必要がある。重要度の低いアジェンダへの取り組みを復活させようとあがくよりも、本当に重要な新しいアジェンダへの対応を試みるべきだ。より多様なアクターの利益がいま危機にさらされている。国際協力への新しい取り組みと国際機関の間での責任分担の見直しが必要なのもこのためだ。新ブレトンウッズ体制構築の試みは、まさにこのための機会を提供している。

大統領に次ぐ重責を担う大統領補佐官の役割とは
 ――バンディからキッシンジャー、ブレジンスキー、ライス、ハドレーまで

2009年2月号

アイボ・ダールダー
ブルッキングス研究所シニア・フェロー
I・M・デスラー
メリーランド公共政策大学院教授

政権が対外政策を遂行していく上で、もっとも多くの時間を大統領と共有するのは国家安全保障問題担当大統領補佐官だ。大統領補佐官は大統領の執務室であるオーバル・オフィスのすぐ近くにオフィスを持ち、朝一番に大統領にブリーフィングをし、多くの場合、一日の最後にも大統領と会う。いまやますます複雑化し、相互の関連性を強める世界の問題に対処していくには、軍事、外交、金融、貿易、環境、国土安全保障、科学および社会政策など、あらゆる側面を統合して一貫した外交政策に結びつけることが、かつてなく重要になってきている。そうした統合的な分析ができるのはホワイトハウス、とくに国家安全保障会議(NSC)においてで、だからこそ、大統領補佐官は、おそらくは現在の政府構造のなかで、大統領に次いで重要なポストなのだ。輝かしい成功例があるとはいえ、歴代補佐官の多くはなぜ失敗を重ねてきたのか。今後の指針とできるようなモデルは存在するのか。

金融市場規制を考える

2009年1月号

スピーカー
ウィリアム・H・ドナルドソン 元米証券取引委員会委員長
スティーブン・フリードマン 元国家経済会議議長
アーネスト・パトリキス 元ニューヨーク連邦準備銀行第一副総裁
司会
ジョン・ガッパー フィナンシャル・タイムズ紙首席ビジネス・コメンテーター

必要とされているのは、リスク・テイキング(リスクを厭わない行動)と創造的な才能を金融システムから取り除くことなく、変動の度合いを大幅に和らげるような金融規制だろう。そのためには金融規制を根本的に見直す必要がある。(S・フリードマン)

投資活動はグローバル規模で行われており、アメリカ以外の国の規制システムに抜け穴があれば、アメリカの規制システムもうまく機能しなくなる。規制に関わってきた人々は、世界の主権国家が規制について合意するのがほとんど不可能なことをよく理解している。何が良い規制や会計基準なのかについて多様な考え方があるからだ。(W・ドナルドソン)

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