国際レジームの未来形、 「拡散に対する安全保障構想」に注目せよ
2009年7月号
新時代の問題に対処するために、民主国家連盟の創設、あるいは、国連の強化やグローバル連邦の形成など、包括的な新多国間機構の創設を求める声もある。だが、より見込みのある枠組みとは、各国間のさまざまな合意や連携を組み合わせたPSI(拡散に対する安全保障構想)のようなモデルだろう。PSIには本部も事務局も、憲章もルールもない。そこにいるのは「加盟国」ではなく「参加国」で、米国務省はPSIを「活動」と呼んでいる。だが様々な事前合意をつうじて「常にスタンバイしていて、すぐに行動を起こせる」のがPSIの強みだ。たしかに、PSIモデルの場合、さまざまな合意や連携を複雑に重ね合わせる必要がある。だが将来に向けた国際的枠組みを考えていく上でPSIの先例を無視するのは大きな誤りだろう。