いまやタリバーンはカブールに近づきつつあり、攻略した地域に新たな行政組織を樹立し、イスラム法廷システムを持ち込みつつある。オバマ政権によるアフガンへの米軍増派策が、現地でのこうした厄介な流れを食い止めることに一時的には貢献できるかもしれない。だが、タリバーン勢力を打倒するための軍事・政治戦略に国民和解というアジェンダを埋め込む必要がある。和解に応じる気のあるタリバーンの信頼を勝ち取るとともに、和解を拒絶する勢力は粉砕するか、拘束しなければならない。国を占領して、武装勢力をいくら殺害し、拘束しても、彼らを粉砕することはできない。敵の中から友人にできる勢力を探しださなければならない。アフガンでは、信頼できる国民和解戦略をとるほうが、軍事力や戦場での軍事的勝利にだけこだわるやり方よりも、安定を実現できる可能性ははるかに高い。