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「西洋は民主主義のソースコードを持っており、このコードへのアクセスを認めるだけで、権威主義国家は崩壊する」。このような見方は間違っている。ソーシャルメディアは民主化に向けた環境整備のためのツールにすぎない。ウェブ上の公共空間で思想や意見が拡散され、市民社会形成への流れが生じない限り、政治的変化はほとんど起きない。つまり、外部情報へのアクセスを持つことは、相互に会話できる環境を持つことに比べれば、それほど重要ではない。特定の意見が最初はメディアによって伝えられ、その後、それを読んだ人々の友人、家族、同僚たちへと広がっていき、ここで、政治的意見が形作られる。インターネット、特にソーシャルメディアが大きな違いをもたらすのも、この第2段階においてだ。ソーシャルメディアが社会や公共空間での人々の運動を加速する効果があるのは事実としても、その結果が出るまでには、数週間、数カ月ではなく、数年から数十年の時間がかかる。