「ブレグジット」によって、ロンドンの金融パワーの優位が疑問視されるようになる。これまでロンドンは、「ヨーロッパ金融への玄関口」として機能してきた。外国の金融機関にとって、EUのメンバーであるイギリスのロンドンに拠点を設ければ、ヨーロッパ各国での規制や許認可に煩わされることなく、サービスを展開できた。このロンドンの機能は、EU金融市場の「シングルパスポート」として知られ、これが、世界の金融センター内でのロンドンの優位を支えてきた。(R・カーン)
イギリスのように、ユーロを導入していない他のEUメンバー国は、イギリスが離脱すれば、EUを快適な空間とは感じられなくなる。「ユーロ圏諸国は自分たちの優先課題を、ユーロを導入していないEUメンバー国に強要すべきではないとする」イギリスの主張によってこれまで救われてきたデンマークのような国は、今後、少数派として弱い立場に追い込まれる。(S・マラビー)
現状は維持不可能だ。ユーロが生き残るには、メンバー国間の財政政策のコンバージェンスと政治統合の深化が必要になる。イギリスがEUに残留すれば、こうした課題をめぐって、EUの主要グループの端に位置する(反対)少数派として非常に無様な状況に追い込まれる。・・・もはや、EUはイギリスがそのメンバーであることを望まないクラブに変化してしまっている。(R・ブートル)