介入が許される条件とは何か
―― J・S・ミルと不介入の薦め
2016年1月号
いまや(欧米が)いつ地上戦を含むシリアへの軍事介入に踏み切り、政府と市民の間に強引に割って入るのか、というテーマさえ浮上している。軍事介入についてどのような立場をとるかは、人道的介入、主権、国家安全保障を人々がどのように認識しているかに左右される。19世紀のイギリスの哲学者ジョン・スチュワート・ミルは、「自由や民主主義を強制するための軍事介入」を否定し、基本的に不介入主義を説いた。一方ミルは「人道的な懸念」や「国家安全保障上の必要性が相手国の主権以上に重視される場合」、或いは「相手国が分裂し、国家として機能していないために、主権を無視してもかまわない」ケースでは介入が許容されるとしている。現在のシリア紛争はどうだろうか。・・・