サウジとイランの終わりなき抗争
―― 対立が終わらない四つの理由
2016年2月号
スンニ派の盟主、サウジは追い込まれていると感じている。原油価格は低下し、財政赤字が急激に増えている。イエメンのフーシ派に対する空爆コストも肥大化し、イランが地域的に台頭している。サウジは、複数の嵐に同時に襲われる「パーフェクトストーム」に直面している。一方、シーア派のイランは核合意によって経済制裁が解除された結果、今後、数十億ドル規模の利益を確保し、新たに国際社会での正統性も手に入れることになる。しかもテヘランは、シリアのアサド政権、イラク内のイラン寄りのシーア派勢力、レバノンのヒズボラを支援することで、地域的影響力とパワーを拡大している。シリア、イラクという中東紛争の舞台で、サウジとイランは代理戦争を展開し、いまや宗派対立の様相がますます鮮明になっている。このライバル抗争は当面終わることはない。その理由は四つある。・・・