現存する大国間戦争のリスク
―― 楽観派はどこで間違えたか
2019年12月号
「戦争が起きる頻度は着実に低下している。大国間戦争などもはや考えられず、あらゆるタイプの戦争がますます起きにくくなっている」。このように現状を捉えるコンセンサスが広がりをみせている。だが、この考えは間違っている。たしかに第三次世界大戦は起きていない。だからといって、それは、大国間平和の時代がそこにあることを意味しない。戦争が少なくなっていると過信すれば、いかなる衝突も瞬く間に危険な方向にエスカレートしていく恐れがあることを軽くみなし、壊滅的な結末に直面することになりかねない。国際政治の混沌とした本質からみれば、大規模な紛争が発生する可能性は常に存在する。