日本経済再生の鍵を握る「コーポレート・ジャパン」
1997年4月号

海外投資の増大と国内投資の低迷という日本における現象の一部は、グローバル・マーケットの強い求心力、さらには、円高と日本経済の成熟への対応として純粋に経済学で説明できるものだ。だが、この現実は一方で、企業側の日本政府に対する鋭い批判でもある。というのも、現在日本企業が海外へと出ていくのは、もはや神通力を失った自国の硬直的な経済システムから脱出するためにほかならないからだ。グローバル市場の力学を見極め、自ら「日本株式会社」の遺産を放棄したこれら日本の「マルチナショナル企業」は、世界的に見事な成功を収めている。この事実は、「日本がついに国際的な没価値状況を脱し、世界の一部となりつつあること」、そして、日本のマルチナショナル企業がその先鞭を付けていることを意味する。「日本株式会社」ではなく、グローバル市場の力学に応じて企業形態やトランスナショナルな提携関係を構築する能力をもつ企業が、日本経済の今後の牽引車役を果たしていくだろう。