南アフリカ今後の外交政策
1994年1月号
新生南アフリカの最大の課題は、「人種、肌の色、信条、宗教、性の違いを問わず、すべての人が自らの人間性を十分主張できるような国家を誕生させることにほかならない」。そして、「市民の権利を保障できるのは、真の民主主義の実現をつうじてのみ」だ。今後、市民の権利は、「人民の、人民による、人民のための政府の登場によって」保障されることになる。一言でいえば、「多様性と人権の尊重」こそ、今後のわれわれの国内・外交政策双方における中核理念なのだ。また、アパルトヘイト政策によって孤立化してきた南アフリカを、国際的な政治・経済システムに再編していくことも急務だ。経済面では、市場アクセスや外資の導入を確保するとともに、保護主義的政策を段階的に改め、政治面では、国連を中心とした国際機構に積極的にコミットしていくつもりだ。国際的、地域的、そして国内的に、責任ある政治勢力として振舞うことこそ、民主化、国際化の唯一の方策と信じる。