イラン・イラク「二重封じ込め」を見直せ
1997年8月号

アメリカの湾岸政策の目的は、「同盟諸国の安全を守り、石油の流れを間違いなく保障すること」であり、この点をイラン、イラクを含むすべての関係諸国は理解しなくてはならないし、アメリカ政府もこれを再確認する必要がある。経済政策と軍事監視からなるクリントン政権のあまりに厳格な「二重封じ込め」政策は、同盟諸国間の亀裂を広げる危険を伴うため、すでに政策目的からのずれが生じ始めている。サダム・フセイン政権には厳格な姿勢を崩すべきではないが、経済制裁によって派生するイラク市民の人道上の問題に十分に配慮し、ポスト・サダム・フセイン政権との交渉の可能性も視野に入れておくべきだし、イランに対しては、封じ込めから、条件を課した上での関係改善策へと路線の修正を図るべきだろう。アメリカの利益だけでなく、同盟諸国との協調路線を回復するためにも、また対イラン・イラク政策の費用対効果を高めるためにも、新政策は同盟諸国との協議や合意を踏まえたものでなければならない。