大蔵省:目に見えぬリヴァイアサン
1995年4月号
日本では政治家は「君臨すれども統治せず」、統治するのはあくまで官僚、それも大蔵官僚たちである。大蔵省(財務省)は、予算編成権、規制の恣意的な執行、民間への天下り、政策の財政面での審査などを通じて、西欧世界では考えられぬほどの巨大な権限を、それも目立たぬように行使している。事実日本の財務省は、米国においては、「連邦準備制度理事会、財務省、連邦預金保険公社、会計検査院、証券取引委員会がそれぞれに分散して担当している領域の全てを一手に自らの管轄領域とし」、しかも、その翼下にある国税庁を通じて日本の税システムも管理する日本の目に見えぬ「リヴァイアサン」だ。税システム、予算、国防のすべてを管理する大蔵省の実体を把握せずして、日本経済の実体を見きわめるのは不可能である。