カスピ海資源とOPECの教訓
1999年2月号
アゼルバイジャン、カザフスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンという四つのカスピ海周辺諸国は、今後、間違いなく石油資源を中心とする経済ブームに沸き返ることになるだろう。だが、あり余る豊かさから、使い古しの雑巾のようなボロボロの状態へと至った石油輸出国機構(OPEC)の経験から教訓を学ばない限り、カスピ海周辺諸国もエネルギーブームの魅力が持つ危険な落とし穴にはまりこむことになろう。労なくして手にできる「石油地代」に惑わされたOPEC諸国は、社会保障や官僚制の肥大化、無節操な投資計画、効率性を欠いたインフラ整備プロジェクト、大規模な軍事支出など、財政上の「ブラックホール」を次々とつくりだした。その結果、莫大な資金を浪費して、今日の悲惨な現実に至っているのだ。OPECを反面教師として、カスピ海周辺諸国が堅実な経済運営を行い、市場経済に必要な透明性を備えた制度を確立していかない限り、限りある資源を持続可能な豊かさへ変えていくのは不可能である。