ハイテク産業がルールを変える
―「研究開発」のグローバライゼーション
2000年10月号
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2000年10月号
2000年10月号
サダム・フセインが権力を維持しているのは、その無慈悲なキャラクターと、反対勢力の失策のためであり、さらにはバース党、治安機構、軍部、取り巻きの派閥というイラクにおける権力の支柱のすべてをきわめてうまく管理しているからだ。彼の二人の息子たちへの権力継承も視野に入りつつあるが、二人は父親同様に残忍な人物で、政権交代は地域的な安全の高まりを意味しない。軍の指導層が民間の啓蒙グループや亡命者集団と手を組めば状況は大きく進歩するのであり、このためにも欧米は、サダムを封じ込めつつもイラク民衆の窮状をやわらげる措置をとるべきである。
2000年10月号
今日の移民政策は、合法か不法かに関係なく、より多くの労働者を求める企業の必要性をもっぱら重視しており、もはや何の歯止めもない状態にある。経済が下り坂に向かえば、アメリカ全土が「カリフォルニアで起きた以上に大規模な」反移民感情にのみ込まれるかもしれない。もしアメリカが移民の受け入れをそのアイデンティティーの一部としているなら、今こそ不合理で管理不可能な移民がもたらす危険を強く認識しなければならない。
2000年10月号
国際法上の重大な侵犯行為を行った個人、企業、そしてテロ支援国家を相手取って、今やますます多くの個人が、国際法の下での自分たちの権利を守るためにアメリカで訴訟を起こすという手法に訴えつつあり、その外交的影響も大きくなってきている。こうした訴訟は、そうでもしない限りとくに関心の寄せられることもない問題が議論されるようになるという価値を持つが、一方で相手国の経済政策への干渉、「国家主権による免責特権」への抵触、司法判断の政治化のリスクも伴う。救済策は司法的にではなく、むしろ調停、あるいは外交をつうじて模索されるべきであり、民間訴訟の肯定的成果と危険との間のバランスをうまく管理していく必要がある。
2000年10月号
2000年9月号
公的な支援なしで民間市場が管理できる危機の規模には限界があるが、今後も可能な限り多くを市場プロセスに依存していくべきだ。金融危機に直面しても、そこに複数の金融取引メカニズムがあれば危機を緩和できる。銀行以外の資金調達手段を持つスウェーデンが不動産危機に素早い対応を見せたことと、ほぼ全面的に銀行融資に頼る日本が問題解決に苦慮していることとは対照的だ。ニューエコノミーという「付加機能」を備えつつ急速に進化する国際金融システムの中で、私たちは危険を承知でオールドエコノミーの節度を求める法則を踏みにじっている。
2000年9月号
フランスの知識人や利益団体、それに主流派の政治家までが、富裕国と最貧国の不平等の拡大はグローバリゼーションの結果であるとあげつらい、「恵まれない世界の国々の代弁者としてこのトレンドに立ち向かうことがフランスの神聖な義務だ」と口々に繰り返している。今や貿易問題は「自由貿易」対「保護主義」という図式ではなく、「アングロサクソンのグローバリゼーション」対「フランスの国家的・文化的価値」という構図でとらえられている。
2000年9月号
ヨーロッパ諸国はコソボ紛争の顛末から、自分たちが軍事的にいかにアメリカに依存しているかを思い知り、大きな変革なしには状況を変化させられないことを認識した。EUによる自立的防衛力を整備すれば、アメリカはヨーロッパにおける重荷を軽減できるし、ヨーロッパはより高い能力を持つパートナーになれる。しかし今回の構想が、ヨーロッパの軍事力の不備を補うような軍事能力の向上ではなく、たんなる官僚制の強化につながり、NATOとの関係を複雑にしてしまうだけなら、ヨーロッパが全般的にいい方向に向かうとは思えない。
2000年9月号
アメリカが一方的にABM制限条約から離脱すれば、ロシアも戦略兵器の制限という義務に縛られることはあり得ず、現状でのアメリカの姿勢が覆されない限り、核軍縮プロセスそのものにピリオドが打たれることになる。NMDの配備は外部における脅威の変化への対応ではなく、軍事技術の進歩に歩調を合わせたものにすぎず、そこからうまみを得るのは、ルールなきゲームを裏で操る軍産複合体である。国際安全保障にとって戦略的安定の重要性は非常に大きく、当然、これを政治の手段、国内政治の道具、一方的な外交政策の対象としてはならない。
2000年9月号
核不拡散が達成不可能とみなされれば、アメリカ政府は核拡散を認め、「核武装した世界」に向けた安定的移行プロセスの管理という目標を掲げるようになるかもしれないし、現実に、より多くの核保有国が存在する国際秩序へと世界は向かっている。核不拡散政策と核の保有による抑止戦略を両立させようとするアメリカの核政策は、道徳的にも、軍事・外交的にも、そして法的にも一貫性を欠く自己破綻の処方箋にほかならない。実際には抑止論で正当化される核の兵器庫の存在こそが核拡散を刺激しているのだから、抑止政策や核の保有と核不拡散政策とは両立し得ず、本気で核の拡散を阻止するには核廃絶を目標とするしかない。