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に関する論文

レビュー・エッセイ
キッシンジャーの思想と保守主義の本懐

2001年7月号

マイケル・マンデルバーム ジョンズ・ホプキンス大学

キッシンジャーは人道的介入策を突き動かす動機には共感を示し、そうした行動を求めるアメリカの経験に深く根ざす価値も理解している。しかし彼は、これまでの人道介入政策の実施のされ方ゆえに、この政策の背後にある大義名分や価値がむしろ損なわれていると指摘する。また彼は、アジアと中東という、平和、繁栄、民主主義がまだ広く確実には根づいていない二つの重要な地域に対しては、アメリカの政策決定者は保守的な「パワー・バランス」(勢力均衡)路線を目指すべきで、(内側の改革を強硬に求めるべきではない)と指摘している。

現実味を帯びてきた台湾海峡危機

2001年7月号

カート・M・キャンベル  戦略国際問題研究所上席副会長 デレク・J・ミッチェル 戦略国際問題研究所上席研究員

北京と台北の間の軍事・政治上のコミュニケーションラインが存在しないために、理解不足からの誤算が生じる危険が近年とみに高まっている。これまで北京は、台湾が現状の変革を試みるのであれば、武力行使も辞さないという態度をとってきたが、いまや「台湾が現状の姿勢を維持するようであれば、武力行使を検討する」としている。アメリカの台湾海峡政策の本質は、問題の最終的解決を永遠に先送りし、この地域での平和と安定を維持することにあったが、このままでは、これまでに先送りしようとしてきた問題が目の前にあることをいずれ思い知ることになるかもしれない。

米外交問題評議会リポート
朝鮮半島政策に関する提言

2001年7月号

モートン・I・アブラモウィッツ 米外交問題評議会・朝鮮半島問題タスクフォース共同議長 ジェームス・T・レイニー 同タスクフォース共同議長  ロバート・A・マニング  同タスクフォース・ディレクター

以下は二〇〇一年六月十一日に公開された朝鮮半島問題に関する米外問題評議会タスクフォース・リポートの要約。同タスクフォースは、今年三月に朝鮮半島政策に関する提言をブッシュ大統領への公開書簡としてすでに発表している(「論座」二〇〇一年六月号)。リポート全文も近く公開される予定。

ミサイル防衛論争の虚構と現実

2001年7月号

ジョン・ニューハウス  防衛情報センター上席研究員

モスクワ、北京、そして懸念を抱くヨーロッパ諸国は、ブッシュ政権のNMD構想のなかに、戦略的優位を完全に確立している国がさらに単独で(防衛上の)優位を模索しようとする意図を見て取り、ブッシュ政権が軍備管理プロセスに明らかに無頓着であると嘆いている。ミサイル防衛構想は、アメリカの単独主義、他の諸国の懸念に無頓着な態度への各国の不満を象徴する存在となっていくだろう。結局、NMDは世界をより不安定にするだけでなく、アメリカを孤立へと誘い、他からの攻撃に脆い存在にしてしまう。

対中強硬策と中国の政治改革の行方

2001年7月号

ジョージ・ギルボーイ マサチューセッツ工科大学政治学部博士課程、 エリック・ヘジンボサム マサチューセッツ工科大学政治学部博士課程

中国は急速な経済改革を模索しつつも、政治的には現状維持策をとり、その結果、今日の中国は、次第に組織化が進み、複雑さを増している社会への適応力に欠ける硬直的で脆い国家になっている。
だが、二〇〇二~二〇〇三年の政権交代期に要職に就くであろう中国の新指導者たちは政治的自由化を進め、社会と政治、国家と社会の関係の再編を試みるだろう。
当然、ワシントンは対中封じ込め政策などとるべきではない。そうした政策は、中国の政治改革プロセスを「封じ込める」だけである。

グローバル化の中の国民国家の役割

2001年6月号

マーティン・ウォルフ ファイナンシャル・タイムズ主席経済論説委員

グローバリゼーションは、まさにその名が示すごとく、国民国家の天敵とならざるを得ないのだろうか。統合へと向かう流れが不可避の宿命ではなく意図的な選択であるとすれば、国家を無能と考えることはできないだろう。国家の潜在力はその選択にこそあるからだ。グローバリゼーションによって、国家は意図する活動や求められる活動を遂行する能力、特に課税、所得再分配のための公共支出、およびマクロ経済政策といった重要分野に関わる能力を失うとよく言われる。しかし、この認識は正しいと言えるのだろうか。

日米企業の再逆転の真相

2001年6月号

クレイトン・クリステンセン ハーバード大学ビジネススクール教授  トーマス・クレイグ モニター・グループ ディレクター  スチュアート・ハート ノースカロライナ大学ビジネススクール教授

日本企業の経営陣は経営の金科玉条に従って、消費者のニーズに敏感に対応し、最大の利益を上げる新製品やサービスに集中的な投資を行った。だが、もはやそれだけでは成長は望めない。企業が市場の最上位に達し、成長を持続させるのに必要な市場規模を見いだせなくなると、痛みを伴う合併がゲームの「上がり」として待ち受けている。アメリカ経済が近年好調なのは、日本式経営の信用が落ちてアメリカ式経営のパラダイムが急に優勢になったからではなく、アメリカでは日本と違って既存市場へのディスラプティブ(下からの挑戦)・サイクルが繰り返されているからだ。

天安門ペーパー再考

2001年6月号

ルシアン・W・パイ マサチューセッツ工科大学名誉教授

「重要な決定はみな私が承諾しなければならなかった。私はあまりに独りで重責を担いすぎた。これは、共産党にとっても、国にとってもよいことではない。私は、引退を考えるべきだ。しかし、いまこの瞬間に身を引くことはできない。目の前にある問題を放置したままで、どうして引退などできようか」(戒厳令直前の鄧小平の言葉)

CFRリポート
弾道ミサイル防衛を考える

2001年5月号

ジャン・ローダル 元政策担当国防次官

ブッシュ政権の支持勢力は、核抑止から離れて「防衛支配」(defense dominance)を重視するミサイル防衛構想の実施を求めているが、これは非現実的である。「限定的ミサイル防衛」と抑止力で攻撃を抑止するほうが、防衛支配を目指すよりも優れた戦略である。 アジアでは戦域ミサイル防衛(TMD)システムが必要とされている。中国がミサイル戦力の増強を続けるとしたら、これに加え、日本と台湾は国内でかなりのミサイル防衛能力を整備する必要が出てくる。

以下は二〇〇一年二月に米外交問題評議会から出版されたThe Price of Dominance: The New Weapon of Mass Destruction and Their Challenge to American Leadership, Council on Foreign Relations Book, 2001(仮題『優位の代価、新型大量破壊兵器とアメリカのリーダーシップの課題』)の弾道ミサイル防衛を検証した第三章の全文。

宇宙での軍拡競争を回避せよ

2001年5月号

マイケル・クレポン ヘンリー・L・スティムソン・センター 名誉会長

いまや世界経済は衛星に多くを依存しており、二〇一〇年までにその数が二〇〇〇に達するという見方もある。こうしたなか、宇宙空間に多くを依存しているアメリカの脆弱性は高まっており、これを克服するには宇宙戦争用の兵器システムが必要であるという主張が出始めている。だが、アメリカによる衛星攻撃兵器の開発・配備は、アメリカの安全保障、同盟関係、核不拡散条約、ミサイル防衛のいずれに対しても大きな悪影響を与える。衛星という資産を守りつつも、宇宙での軍拡競争を誘発しない路線を模索することこそ、アメリカの利益である。

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