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に関する論文

スーダン
――終わりのない戦争

2003年3月号

ランドルフ・マーチン 国際救済委員会シニア・ディレクター

「地域を不安定化させている。国際テロを支援している」というスーダン政府の悪評については、それを見直してもよいほどの改善がみられ、人権状況もある程度はましな状態になっている。こうした国内政策の転換や石油パイプラインの誕生によって、国際社会からの孤立状況も緩和されつつある。だが、内に目を向ければ、政府が抗争相手である南部の勢力と和解する動機は薄れつつある。石油の収益は政府が内戦を継続する財的基盤を得たことを意味するし、南部勢力間の対立も解消されていないからだ。

悪の枢軸と国際協調の行方

2002年3月号

アル・ゴア 前米国副大統領

ブッシュ政権は時にこれを逆さにして、「そうせざるを得ない時は他国とともに、可能であれば単独で」事を運んでいる。世界には「貧困と無知、疾病と環境破壊、腐敗と圧政」という「もう一つの悪の枢軸」が存在する。われわれが現在直面しているのは、膨大な規模の民衆が感じている幾重もの悲しみからほとばしる怒りの表れなのだ。重要なのは、アメリカがテロリストに対して毅然たる態度をとるだけでなく、経済的機会と民主的自由を支持しなければならない、ということだ。

「反独占」に関する米欧の認識ギャップ
―ハネウエル・GE合併挫折の背景にあるもの

2002年3月号

デービッド・S・エバンス ナショナル・エコノミック・リサーチ・アソシエーツ社 上級副社長

二〇〇一年七月、欧州委員会はゼネラル・エレクトリック(GE)とハネウエルインターナショナルの合併計画を認めないとする決定を下した。実現すれば年間の売上が千五百億ドルを超えるこの合併計画を、アメリカ司法省はすでに承認していた。それだけに欧州連合(EU)の決定は、両社だけでなく、合併によってハネウエルが強力で効率的な企業に生まれ変わると予測していた多くのアナリストたちにも衝撃を与えた。しかもヨーロッパとアメリカは、過去数年にわたり足並みの揃った反トラスト政策の運用をアピールしていただけに、一層衝撃は大きかった。今回のケースは、反トラストへのアメリカとヨーロッパの姿勢の違いを浮き彫りにすることになった。

パレスチナの混迷と内部対立
―和平プロセス再開の条件を探る―

2002年3月号

ハリル・シュカーキ ビルザイト大学政治学助教授

和平プロセスが破綻し、民衆が自治政府の統治能力をほぼ見限ったために、自治政府の正統性は大きく損なわれ、民族主義運動の新世代派が大きく台頭しつつある。アラファト議長は、この新世代派を懐柔しようと、彼らがイスラム主義勢力と共同歩調をとることだけでなく、イスラエル軍との過激な対立路線をとることも容認した。西岸とガザ地区からイスラエル軍を撤退させ、PLO主流派の力を弱め、主流派に取って代わることを夢見るこの新世代派の台頭こそ、第2次インティファーダの本当の理由なのだ。

対イラク侵攻というアメリカのジレンマ

2002年3月号

ケニース・M・ポラック/米外交問題評議会・国家安全保障問題担当シニア・フェロー

イラクに対する制裁や抑止策では、もはやサダムが核兵器を獲得するのを阻止できない。ほかのすべての選択肢が大きな問題を伴う以上、最後の手段であるイラクへの軍事侵攻を、対テロ作戦との兼ね合いに配慮しつつ、タイミングをみて実施せざるを得ない状態にある。アメリカが現在対処すべきジレンマは、拙速なイラクへの侵攻は対テロ戦争の成果を台なしにするかもしれないが、侵攻を先延ばしにすればするほど、作戦の遂行は困難になり、サダムが核武装するリスクを高めてしまうことだ。問題は、イラクに侵攻するかどうかではなく、どのようなタイミングでサダム・フセイン政権を打倒するかにある。

サダム追放策の全貌を検証する
―― 国際協調と単独主義の間

2002年3月号

スピーカー
レオン・ファース/クリントン政権・国家安全保障問題担当補佐官
リチャード・パール/レーガン政権・国防次官補

戦略的に好都合だからという理由でサダム追放策に焦点を合わせれば、すでに開始している対テロ作戦の実行に必要な国際的支援を失いかねない。テロ・ネットワークは、サダム同様に、アメリカに対して生物兵器を使用する能力を持っていることを忘れてはならない。(ファース)
テロリストに聖域を提供するテロ支援国がなくなって初めて、われわれはテロ・ネットワークを打倒できる。われわれは開放的な社会で暮らしており、個々のテロ集団に対処するだけでは、アメリカの安全を守ることはできない。(パール)

サダム・フセイン政権存続の謎

2002年3月号

オフラ・ベンジオ/テルアビブ大学中東研究所上席研究員

サダム・フセインが権力を維持しているのは、その無慈悲なキャラクターと、反対勢力の失策のためであり、さらにはバース党、治安機構、軍部、取り巻きの派閥というイラクにおける権力の支柱のすべてをきわめてうまく管理しているからだ。彼の2人の息子たちへの権力継承も視野に入りつつあるが、2人は父親同様に残忍な人物で、政権交代は地域的な安全の高まりを意味しない。軍の指導層が民間の啓蒙グループや亡命者集団と手を組めば状況は大きく進歩するのであり、このためにも欧米は、サダムを封じ込めつつもイラク民衆の窮状をやわらげる措置をとるべきである。

グローバル経済に挑む国際労働運動

2002年2月号

ジェイ・マズアー 米労働総同盟産業別会議・国際委員会会長

グローバリゼーションは一握りの人々に繁栄をもたらす一方で、あまりに多くの労働者を追い込んで不安定な生活を強いている。経済システムが正統性を持っているかどうかは、いかに多くの人々にすぐれた生活レベルを提供できるかで判断されるべきであり、この基準から見れば、現状のグローバル経済システムには変革と新ルールの導入が間違いなく必要である。具体的には、労働者の権利を国際的な貿易合意に明文化させるとともに、それを国際的な金融機構の融資の条件にする必要がある。加えて、企業側は経済効率と低賃金の労働力を求めてグローバルな生産ラインを確立させ、国際的提携を進めており、労働組合が国際的連帯を強化する必要性も高まっている。すでにわれわれは、他国の労組だけでなく、環境保護団体、人権擁護団体との連帯を強化しつつある。われわれの取り組みは、グローバル経済のあちこちに壁をつくろうとする保護主義的な試みではない。それはグローバル経済にルールを導入し、労働者と人々の窮状を改善させるための基準をつくろうとする試みなのだ。

パキスタンでのイスラム革命を回避せよ

2002年2月号

アナトール・リーベン カーネギー国際平和財団シニア・アソシエート

パキスタンの歴代文民政権同様に、現在の軍事政権も社会・経済状況を改善できないとすれば、イスラム主義が、残された唯一の選択肢として浮上してくるかもしれない。イスラム過激派のテロリストたちは、インドのヒンズー教徒にイスラム教徒を迫害させることが、パキスタンで革命を起こす手っ取り早い方法であることを知っている。その結果インド・パキスタン戦争が起きれば、両国間の核戦争という忌まわしい危険が生じることになる。

軍事作戦後の対立を回避せよ

2002年2月号

マイケル・ハワード オックスフォード大学歴史学教授

「テロリストは英雄ではなく犯罪者である」とみなす前提が中東世界で受け入れられていない状態で、民間人に犠牲が出ることが避けられない対テロ軍事作戦を続けるのは、敵に勝利を与えるに等しい。テロに対する闘いを成功へと導くには、軍事作戦を早く終え、欧米にとって未知なるイスラム世界において「人心を勝ち取る闘い」を展開する必要がある。そして、この闘いの最前線はアフガニスタンではなく、近代化志向の政府が伝統主義者の反動によって脅かされている中東のイスラム諸国である。

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