1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

に関する論文

サダム・フセインの妄想
―― 旧イラク軍高官たちが証言する

2006年5月号

ケビン・ウッド 防衛アナリスト
ジェームズ・レーシー 米統合軍司令部軍事分析官
ウィリアムソン・マレー 米海軍大学歴史学客員教授

2003年4月、バグダッドは陥落し、歴史的に最も秘密主義で残忍な政権の実態を解明する機会が生まれた。米統合軍司令部は、かつてはアクセスできなかったイラク政府文書を基に、サダム・フセイン政権がどのように機能し、行動していたかをテーマとする検証を命じた。拘束された数十人の政治・軍事指導者への聞き取り、数十万の公文書を基盤とする2年がかりのプロジェクトのリポートのポイントをここに掲載する。

イランの核開発に打つ手はあるのか
――外交、軍事攻撃、あるいは封じ込めか

2006年5月号

◎スピーカー
リュエル・マーク・ゲレット アメリカン・エンタープライズ研究所レジデントフェロー
ケニース・M・ポラック ブルッキングス研究所セバン中東研究センター所長
◎司会
リチャード・N・ハース 米外交問題評議会(CFR)会長

「イランを軍事攻撃できるかどうか。その答えはイエス。攻撃後のイラン国内状況は、当初は今よりも悪くなるし、反体制派や改革主義者は抑圧される。長期的に大きな反体制運動が起きるか。答えはイエス。対米テロは起きるか。これは間違いなく起きる」(R・ゲレット)

「イランの核施設は大規模なトンネルで繋がれていることもわかっている。このトンネルを破壊するのは非常に難しい。ペンタゴンでこのトンネルを破壊するにはどうすればよいかが研究されているが、これを破壊するには、地表貫通型核兵器が必要だと言われている」(K・ポラック)

イラク・パースペクティブ・プロジェクト
―― サダム・フセインの幻想

2006年4月号

ケビン・ウッド/防衛アナリスト
ジェームズ・レーシー/米統合軍司令部軍事アナリスト
ウィリアムソン・マレー/米海軍大学歴史学特別客員教授
マイケル・ピース/「イラク・パースペクティブ・プロジェクト」共同執筆者
マーク・スタウト/「イラク・パースペクティブ・プロジェクト」共同執筆者

米統合軍司令部は、2004年に作戦分析統合センター(JCOA)に、イラク戦争中にサダム・フセインが何を考えて、どのように行動していたかを分析するように命じ、その分析結果が『イラク・パースペクティブ・プロジェクト――サダム政権高官はイラク自由作戦をどうみていたか』という200ページを超えるリポートにまとめられ、2006年3月24日に公表された。フォーリン・アフェアーズ英語版5・6月号には、JCOAリポートの筆者であるケビン・ウッド、ジェームズ・レーシー、ウィリアムソン・マレーがその主要なポイントを抜粋し、まとめなおした「サダムの幻想」が掲載されている。ケビン・ウッドをプロジェクトリーダーとするイラク・プロスペクティブ・プロジェクトの分析チームは、イラクに関して公開されている情報を入念に調べあげた上で、イラクへ向かい、現地でイラク政府・軍高官の聞き取りを行うとともに、押収したイラク政府文書を精査した上で、この2年がかりのプロジェクトを分析報告として発表している。邦訳分は、フォーリン・アフェアーズには掲載されていない、米統合軍司令部JCOAリポート「イラク・パースペクティブ・プロジェクト」の統括部分からの抜粋・要約。日本語版では次号(6月10日発売5月号)に「サダム・フセインの幻想」の全文を掲載予定。(フォーリン・アフェアーズ日本語版編集部)

イラク戦争の情報と政策

2006年4月号

ポール・R・ピラー/前米中央情報局(CIA) 近東・南アジア情報分析官

ブッシュ政権は政策を決める判断材料として情報を用いるという、政策と情報の通常のモデルを逆さにし、すでに下されている政治決断を正当化するために情報を選択的に用いた。米情報コミュニティーのイラクの大量破壊兵器(WMD)に関する間違った情報分析が政策決定者に判断を誤らせたわけではない。むしろ、イラクに関する戦前の情報収集・分析に関して特筆すべきは、この数十年間でもっとも重要なアメリカの政策決定において、情報がほとんど無視されたという点にある。ブッシュ政権は、イラク戦争に向けて米市民を動員するために生の情報を選択的に利用したにすぎない。

核合意は核不拡散体制を脅かす

2006年4月号

ストローブ・タルボット/前米国務副長官

ブッシュ政権は今回の米印核合意をつうじて、「われわれは世界を『良い国と悪い国』、あるいは『良い国、悪い国、どちらともいえないあいまいな国』に区別し、まちがいなく良い国なら、核不拡散条約(NPT)の例外措置を認める」と表明したようなものだ。クリントン政権で国務副長官を務めたストローブ・タルボットは、「今回の合意の余波によって、すでに形骸化し始めているNPTがさらに弱体化していくこと」を憂慮し、インドにNPTの例外措置を事実上認めた以上、「今後、同様の例外措置の適用を望む国が出てくると思われる」とコメントした。現在ブルッキングス研究所の会長を務める同氏は、「われわれが良い・悪い、信頼できる・信頼できないという基準で、NPTの例外措置を認めるかどうかを決めれば、NPT体制は崩壊する」と警鐘を鳴らした。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。邦訳文は英文からの抜粋・要約。

原油価格高騰の真相

2006年4月号

レオナルド・モーゲリ
ENI企業戦略企画担当上席副社長

悲観論者たちは、世界の資源はすでに開発し尽くされており、原油価格のダイナミクスや技術の発展も石油資源の「限界」を覆すことはできないと考えている。たしかに石油の消費が増加の一途をたどっている以上、既存の石油資源に関しては必然的に枯渇に近づいている。だが、科学を装った「資源枯渇」という悲観論者の宿命論は、これまで幾度となく間違っていたことが実証されている。この20年にわたって石油関連投資がないがしろにされてきた結果の原油不足に、中国などの需要増が追い打ちをかけているというのが真実に他ならない。石油資源は潤沢にあるし、今回の原油高騰を例外的な現象とみなすのは間違っている。

Classic Selection
オフショアリングが誘発する次なる産業革命

2006年4月号

アラン・S・ブラインダー プリンストン大学教授

多くの人々は、教育レベル(とスキルのレベル)が高い人々と低い人々の間の区別、つまり、医師とテレホンオペレーターの違いに象徴される労働市場における重要な雇用区分は今も存在し、今後もなくならないと考えている。だがこうした見方は間違っているかもしれない。むしろ雇用に関する今後の重要な区分は、(インターネットなど)有線や無線での電子送信によって質をほとんど低下させることなく仕事をオフショアリング(外国へアウトソース)できる仕事か、そうでない仕事かで分かれることになる。先進国にとって、オフショアリングは第三の産業革命と呼ぶにふさわしい産業構造の変化、そして社会的変革を呼び込むことになるだろう。

日中関係はどこへ向かうのか
 ――政治化された歴史とライバル意識の行方

2006年3月号

ケント・E・カルダー  ジョンズ・ホプキンス大学ライシャワー・センター所長。

小泉首相の個人的、政治的思惑が何であるにせよ、そして、その意図がうまく理解されていないとしても、彼の靖国参拝は、国際的に日本の外交路線を大きく誤解させる火種をつくり出し、日本と中国の指導者が2国間の経済・安全保障関係を管理していくのをますます難しくしている。しかし、ポスト小泉の指導者は大きな機会を手にすることになる。新首相は、日中の首脳会談を復活させ、エネルギー・環境問題をめぐる中国との対話路線を強化し、世俗的な戦没者追悼施設建設の可能性を模索し、靖国神社への参拝を慎むことができる。こうした路線をとれば、日本は外交的な優位をつくり出せるし、日本と中国は、とかく政治的論争となりがちな歴史問題に気を奪われることなく、両国の関係の安定化という真の課題に取り組めるようになるだろう。

膨大な石油資源を持ちながらも、治安問題、インフラの不備、さらには法環境の整備がまだできていないために、イラクは実質的に石油を輸入している状態にある。大手外国資本も、治安問題ゆえにイラク石油資源への投資にはまだ乗り気ではない。さらにやっかいなのは、石油からの歳入をどう分配するかについて国内的な対立があることだ。石油資源豊かな北部と南部では、連邦政府が管理するのは既存の油田だけなのか、これから発見される油田も含むのかをめぐって論争が起きているし、すでにスンニ派は、クルド人がバグダッドを迂回して、外国の石油企業と開発合意を交渉するのは憲法に反すると批判している。

石油需要の増大は、エネルギー資源の輸入国から輸出国への世界規模での大規模な富の移転という現象を引き起こしており、エネルギー資源輸出諸国の経常黒字は最近では4000億ドル規模に達している。とはいえ、これが直ちに石油輸出国のGDPの引き上げにつながるわけでも、1人あたり所得の増大をもたらすわけでもない。その理由は多岐にわたる……

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