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に関する論文

2020年までには、ヨーロッパは、消費する天然ガスの4分の3を輸入するようになり、その大半をロシアからの輸入に依存することになると考えられている。しかし、専門家のなかには、ロシアが自国のエネルギー資源を外交政策のツールとして用いだす危険を指摘し、ヨーロッパがエネルギー資源をロシアに依存するのは危険だと考える者もいる。事実、ヨーロッパは、ロシアからの資源の安定供給が脅かされることを恐れて、プーチン政権の国内、近隣地域での強権的手法にもしだいに目くじらを立てなくなってきている。すでにエネルギー資源を盾とするロシアの地政戦略の危険な先例が作り出されつつあるとみる専門家もいる。

民主化途上にある国の危うさ
――イラク民主化構想の落とし穴

2006年1月号

ジョン・M・オーウェン/バージニア大学準教授

民主主義国家どうしは戦争をしないと言われる。だが、選挙は実施したものの、(独立した司法制度、軍の文民統治、複数政党制、報道の自由など)政府の説明責任を問うための適切な制度を確立していない「民主化の途上にある国」の政治家は、他国と領土論争を展開し、外国人に対する不満を煽れば、市民の支持を得やすいことを理解しており、あえて、戦争のリスクを高めるような政策をとりがちだ。民主主義国家どうしは戦争をしないという理論を前提に、イラクへと足を踏み込んだブッシュ政権は、国際政治理論のどの部分を誤解していたのか。イラクはまさに中途半端な民主主義国家になろうとしているのではないか。

経済成長は本当に民主化を促すのか
―― 中国の民主化はなぜ進展しない

2006年1月号

ブルース・ブエノ・デ・メスキータ
ニューヨーク大学政治学部長、フーバー研究所シニア・フェロー
ジョージ・W・ダウンズ
ニューヨーク大学社会科学部

近年では、抑圧政権は、経済発展を実現しつつも、民主主義の導入を非常に長い間遅らせることに成功している。例えば、中国は、この年にわたって力強い経済成長を遂げているが、依然として政治的には抑圧体制を温存している。現実には、経済成長によって抑圧政権の寿命は短くなるどころか、むしろ長くなっている。経済成長によって得た資金をバックに、公共交通機関、保健医療サービス、初等教育などの公共財を提供することで市民の満足度を高める一方で、民主化を求める市民の連帯を育む前提である政治的権利、人権、報道の自由を厳格に管理しているからだ。いまやわれわれは、経済成長は民主化を呼び込むという理論を見直す必要があるし、国際機関の融資条件に市民間の連帯をうながす一連の権利の保障を含めるべきだろう。

CFRミーテ ィ ング
IEAチーフエコノミストが語る、 世界のエネルギー需給見通し

2005年12月号

ファティ・バイロル スピーカー 国際エネルギー機関 (IEA) 経済分析部長  司会  ニューヨークタイムズ記者  ジャド・モーアワッド

「この5~6年をみると、世界の石油の需要増のほぼすべては交通・運輸部門の需要増大によるもので、これはかつてとは違うパターンだ。これまでは、産業、電力生産、家庭での需要増がその内訳だったが、いまや、需要増のほぼすべてが交通・運輸部門の需要増大に引きずられている。だが、この部門を石油以外のエネルギー資源へと移行させていくのは容易ではない。いかなるシナリオをたどっても、今後中東と北アフリカMENA の世界の石油供給にしめるシェアはますます増大していく」(F・バイロル)

イラク・シンドローム

2005年12月号

ジョン・ミューラー オハイオ州立大学教授

米兵犠牲者の増大とともに、世論の戦争への支持は低下する。そして、こうした戦争への支持率の低下を挽回するために大統領にできることはほとんど何もないし、支持率の低下は、戦争が終わっ ても歯止めが利かない。こうして、戦争後にはアメリカ社会での対外介入への嫌悪感が高まる。すでにイラク・シンドロームとでもいうべき対外介入を嫌悪する感情が高まりをみせつつある。対外介入を忌み嫌う戦後のシンドロームによって大きく損なわれるのは、ブッシュ・ドクトリン、単独行動主義、先制攻撃、予防戦争、そして世界にとって不可欠の国としてのアメリカという自己イメージに他ならない。とすれば、イラク戦争から最終的にもっとも大きな利益を引き出しているのは、イラク同様に悪の枢軸と名指しされた国々なのかもしれない。

ブッシュ政権の対中、対日政策を検証する

2005年12月

エリザベス・エコノミー/米外交問題評議会シニア・フェロー

北京が鳥インフルエンザ問題をめぐって十分な情報公開をしているとは断言できない。深刻な状態にあることを公表することへのためらいがみられるし、鳥インフルエンザに関して地方から正確な情報が寄せられているかどうか、北京の指導者自身、確信がもてずにいる。中国問題の専門家エリザベス・エコノミー(CFRシニア・フェロー)は、鳥インフルエンザの情報公開であれ、知的所有権の保護であれ、中国が国際社会で責任ある国家とみなされるには、国内の統治システムを抜本的に改革し、特に、地方において優れた統治システムを確立することが不可欠だと主張し、「それには長い時間を必要とする」とコメントした。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

エネルギー資源をめぐる米中衝突を避けるには

2005年12月号

スピーカー
ジョセフ・リーバーマン 米上院議員(民主党・コネチカット州選出
司会
ウィリアム・マーチン 前米エネルギー省副長官

北京が世界のエネルギー供給を1人で押さえてしまおうとすれば、中国と、アメリカその他の諸国が衝突するのは目に見えている。アフリカ、中東、ロシア、南米と、中国は世界中で石油資源の供給を押さえようときわめて利己的で攻撃的な資源調達戦略をとっている。中国のエネルギー調達戦略が今後も攻撃的でナショナリスティックなままなら、われわれは問題に遭遇することになるし、その兆しはすでにある。状況を放置すれば、たんに中国との間で資源獲得競争が起きるだけでなく、紛争の瀬戸際まで追い込まれる。資源をめぐる米中競争が深刻な事態へと至る前に、石油への依存を減らしていくための米中共同の研究開発プロジェクトを実施する必要がある。

M・レアードが回顧するイラク戦争とベトナムの教訓(上)

2005年11月号

メルビン・R・レアード/ニクソン政権国防長官

ベトナムの屈辱とは、われわれがベトナムに介入したことではなく、最終的にわれわれが同盟勢力を裏切ってしまったことだ。パリ協定の約束に背を向けて、米議会が南ベトナムへの援助を打ち切ったために南ベトナム軍は総崩れになり、結局は崩壊した。イラク戦争にも同じことが言える。米政府と議会の連帯を維持することが、イラクでの対ゲリラ戦を遂行するうえでも非常に重要である。アメリカのイラクへのコミットメントが、将来においても尊重されるように、それが何を意味するかを現在理解しておく必要がある。イラク問題に関するアメリカ国内での論争は、議会と政府間の連帯を損ない、ゲリラ勢力に希望を与え、イラクに送り込まれているアメリカの兵士たちを危機にさらすだけだ。

イラク連合国家構想を推進せよ

2005年11月号

レスリー・ゲルブ/米外交問題評議会名誉会長
ジュディ・ウッドルフ/前CNNアンカーパーソン

イラクはすでに三つの地域に分裂している。米軍がイラクに駐留する限り、ゲリラ勢力が勝利を手にすることはないが、北部、中央部、南部の三つの地域間の主要勢力間の政治的取り決めが成立しない限り、われわれがイラクで勝利を勝ち取ることはできない。そして、クルド人、シーア派、スンニ派という三つの集団間の政治的取り決めの切り札が、連合国家としての枠内でイラクの3地域に大幅な自治権を与えることだ。すでにこの方向での流れが生まれつつある。

サウド・サウジ外相が語るテロとイラク

2005年11月号

サウド・ファイサル・ サウジアラビア外相
ファリード・ザカリア/フォーリン・アフェアーズ誌前副編集長

「(イラクの)シーア派とスンニ派間に内戦が起きるのを放置すれば、それでイラクは終わりだ。分裂するだけでなく、各地域で紛争が起き、この地域全体が出口のない混乱へと陥っていく。イラクの紛争にイランもトルコも介入してくる。アラブ世界全体が紛争へと巻き込まれていく。したがって、まずスンニ派とシーア派の和解を成立させる必要がある」(サウド・ファイサル)

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