核拡散後の世界
2006年10月号
イランが弾道ミサイルで中東全域を射程に収め、アメリカやヨーロッパに対しても(船舶その他の方法で)核攻撃を行う力を得る。サウジアラビアとトルコも、恐怖、あるいはライバル意識に突き動かされて、核武装する。アジアでも、中国、インド、北朝鮮、パキスタン、ロシアという核保有国に加えて、日本と台湾がアジアの核保有国の仲間入りをする可能性もある。仮に現実がこのように推移するとしたら、この新しい世界における戦略的な流れはどのようなものになるだろうか。核大国の一方で、数多くの核小国が共存するようになれば、冷戦期の抑止理論、軍備管理論は陳腐化する。