ワシントンは、中国政府は輸出競争力を強化しようと、人民元レートを人為的に低いレベルにとどめようとしていると批判し、北京が人民元を早急に切り上げることが、アメリカの膨大な経常赤字と中国の巨大な貿易黒字という「グローバルな不均衡」を是正することにつながると主張してきた。しかし、人民元が切り上げられてもアメリカの経常赤字はなくならないとする見方もあれば、人民元が切り上げられなければ、米欧では保護主義が台頭して、グローバル経済の流れが停滞するという議論もある。アメリカの消費者がモノを買いすぎることが問題なのか、それとも、中国が為替操作を通じて輸出競争力を強化しようとしていることが問題なのか。スティーブン・ローチとデスモンド・ラックマンという2人のエコノミストが検証する中国の人民元切り上げ問題。