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に関する論文

「いまや戦争のカテゴリーは曖昧化し、特定の枠に当てはめるのが難しくなってきている。軍事専門家、マイケル・エバンスが描写するように、現在の戦略では『マイクロソフト(に象徴されるハイテク技術)と(伝統的な)刀が共存し、ステルス技術に対抗して自爆攻撃が用いられる』。敵対勢力の力、そして紛争のタイプがこれほど多様になってきている以上、われわれは戦闘能力に関するバランスのとれたポートフォリオを持つべきだし、戦線に送り込む部隊、調達する兵器、訓練に関してもっと幅を広げなければならない」。必要なのは、今後の不測の事態に備え、対ゲリラ戦争を遂行・実施していく能力を制度化し、複雑な戦争に備えた戦力を重視することで、現在の重厚長大型の軍事路線とのバランスをとっていくことだ。

権力と精神病理
――政治権力と自信過剰症候群

2009年1月

シャーウィン・B・ヌーランド
イエール大学医学部臨床外科教授

政治指導者を苦しめるのはいわゆる病気だけではない。権力の座にあるがゆえに国の最高指導者が精神的な変調をきたし、誇大妄想やナルシシズムに陥り、無責任な行動をとるようになることも少なくない。こうした「政治的自信過剰症候群」を患うリーダーは、自分が偉業を成し遂げる能力を持つとともに、それを期待されていると考え、自分にはあらゆる状況下で何が最善かを見抜く力があり、通常の道徳の範囲を超えて行動できると思い込んでいる。毛沢東やフィデル・カストロ、ロバート・ムガベなどの例からも明らかなように、政権の座にある期間が長ければ長いほど、こうした傾向は強くなり、その結果、「政策遂行能力の完全な欠落」という事態に陥る。

メラミンが混入したペットフードや乳製品に始まり、ジエチレングリコールが混入した歯磨き、汚染された透析薬や殺虫剤が混入した餃子などの食品に至るまで、世界各地で汚染された中国製品が見つかっている。今後、中国は食糧その他の消費財の生産をどのように管理して規制していくつもりなのか。国内的にも国際的にも中国政府の動向に関心が集まっている。中国政府は自国の食糧安全基準を擁護しつつも、一方で規制当局の監視体制強化を試みている。一方、汚染食品が国内市場に出回るのを阻止するために日本や香港はアメリカ以上の努力をしており、見習うべき部分も多い。中国からの製品輸出に関わっている多国籍企業は、自分たちが扱っている製品が安全なものかどうかを確認すべきだという声も挙がっている。専門家の多くは、政府の安全基準を地方レベルで徹底していくのが役人の汚職・腐敗ゆえに難しいこと、膨大な規模に達する輸出量ゆえに検査が部分的にならざるを得ないことに加えて、「熾烈な競争を勝ち抜いて生き残るにはルールを破っても仕方がない」という風潮が中国でみられることを汚染問題の背景として指摘している。問題は、いくら検査体制を強化しても100%の安全確保が期待できないことだ。

The Classic Selection 1932
大恐慌

2008年12月号

エドウィン・F・ゲイ
ハーバード・ビジネススクール初代学部長

「今現在の生産力と生活水準を即座に引き上げるために、将来を担保に自由に信用に頼るという戦時の慣習が戦後も続いた。途方もない大量の信用が使われ、乱用されることもしばしばだった。乱用自体は目新しくないが、創造される信用の規模はかつてないものとなった。紙の上での利益を人々が現実にお金に換えだすと、肥大化した信用が収縮しだし、多くの投資家が浮かれた夢から目を覚まし、我を取り戻した。そしてパニックが起きた」

Agenda 2009
核のない世界は実現できる

2008年12月号

アイボ・ダールダー
ブルッキングス研究所シニア・フェロー
ジャン・ローダル
アトランティック・カウンシル前会長

世界はより多くの核保有国と核分裂物質、警備体制が十分ではない原子力施設の増殖に特徴付けられる時代へと足を踏み入れつつあり、その結果、核を入手しようとしているテロリストの試みはより簡単になり、核兵器が現実に使用されるリスクも高くなっている。核兵器を暫定的に保有する目的を「他のアクターによる核兵器の使用を阻止することに制限し、アメリカが保有する核弾頭の数を1千個へと削減し、世界におけるすべての核分裂物質の所在を明らかにし、それを監視するための包括的な核管理レジームを立ち上げ、核廃絶に向けた最大限の国際的連帯をとりまとめていくべきだ。いま、核廃絶の道を歩みださなければ、いずれ核兵器が本当に使用される日がやってくるリスクを受け入れざるを得なくなる。

メラミンが混入したペットフードや乳製品に始まり、ジエチレングリコールが混入した歯磨き、汚染された透析薬や殺虫剤が混入した餃子などの食品に至るまで、世界各地で汚染された中国製品が見つかっている。今後、中国は食糧その他の消費財の生産をどのように管理して規制していくつもりなのか。国内的にも国際的にも中国政府の動向に関心が集まっている。中国政府は自国の食糧安全基準を擁護しつつも、一方で規制当局の監視体制強化を試みている。一方、汚染食品が国内市場に出回るのを阻止するために日本や香港はアメリカ以上の努力をしており、見習うべき部分も多い。中国からの製品輸出に関わっている多国籍企業は、自分たちが扱っている製品が安全なものかどうかを確認すべきだという声も挙がっている。専門家の多くは、政府の安全基準を地方レベルで徹底していくのが役人の汚職・腐敗ゆえに難しいこと、膨大な規模に達する輸出量ゆえに検査が部分的にならざるを得ないことに加えて、「熾烈な競争を勝ち抜いて生き残るにはルールを破っても仕方がない」という風潮が中国でみられることを汚染問題の背景として指摘している。問題は、いくら検査体制を強化しても100%の安全確保が期待できないことだ。

新政権の国家安全保障チームと大統領の権限
― 流れは国務省からホワイトハウスへ

2008年12月号

デビッド・J・ロスコフ
カーネギー国際平和財団客員スカラー

「バラク・オバマは知的な指導者だし、自ら意思決定に関与し、問題に対する自分の立場をスタッフに認識させておくタイプだと私は見ている。ロナルド・レーガンのように、国家安全保障チームとは一定の距離をおいて補佐官任せにするといったやり方はとらないだろう」。オバマの意思決定スタイルをこう予測するカーネギー国際平和財団のデビッド・ロスコフは、「未曾有の経済危機のなかで誕生するオバマ政権は国家経済会議を再生し、重要な役割を与えることになると思うし、・・・エネルギー安全保障会議」を新設するという話も一部には出ている」と言う。また「外交政策立案の比重は全般的に国務長官からホワイトハウスへとシフトしている」と指摘し、その理由について「ホワイトハウスは政治的余波を伴うであろう案件には自ら関わりたいと考え、人任せにはできない」と考えるようになっているからだとコメントした。聞き手は、バーナード・ガーズマン(www.crf.orgのコンサルティング・エディター)。

世界大国への道を歩み始めたブラジル

2008年12月号

フアン・デ・オニス ジャーナリスト

かつては「コーヒー大国」としてしか認知されていなかったブラジルも、いまや石油資源の開発ブームに沸き返り、農業生産性を飛躍的に向上させ、バイオ燃料生産でも世界の先端をいく国に成長した。インフレも低く抑え込まれ、市場経済型の施策に徹し、資本市場を整備したことで、世界から巨額の資金が流入している。国内の貧困と社会格差の問題にも対応策がとられ、いまやブラジルの人々は、「経済の地平線が国境を越えて広がった」という感覚を広く共有している。事実、ブラジルの国内総生産(GDP)の規模は1兆5800億ドルと世界10位にまで拡大した。過去の過ちを繰り返さないためには、未解決の問題への新たな処方箋をみつけていかなければならない。安定と成長を今後も維持していくことが前提になるが、今後、腐敗・汚職の横行、税制改革および労働市場改革の停滞、低い貯蓄率、効率に欠ける公教育制度、高度なスキルを持つ労働者不足という一連の問題をうまく克服していけば、長い間さほど重要な国とみられていなかったブラジルも、ついに「グローバル・プレイヤー」としての地位を手に入れることができるだろう。

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