CFRブリーフィング
ヨーロッパへ殺到するアフリカからの移民・難民
2007年7月号
働き口とよりよい生活を求めて、数多くのアフリカの人々が、危険を顧みずに、ヨーロッパを目指して地中海の旅へと繰り出している。アフリカからの移民・難民が殺到しているヨーロッパ諸国は、経済移民および政治・経済難民の受け入れ制度を改革し、域内で調和させる必要性に直面しつつあり、欧州連合(EU)も、これを経済、人道上の緊急課題と捉えだしている。だが、ヨーロッパ各国がこの問題をめぐって、立場を共有しているわけではない。殺到するアフリカからの難民に特に悩まされているのが、地中海沿岸に位置する南ヨーロッパ諸国だ。一方、移民、難民の増大に悩まされる一方で、ヨーロッパ社会の高齢化が進み、出生率が低下するなか、EUは、近い将来に労働力不足に陥ると考えられている。つまり、そこには、アイデンティティーを脅かすアウトサイダーとしての移民、貴重な労働力としての移民という認識上のジレンマがあるだけでなく、その受け入れをめぐって加盟国間に立場の違いがある。