政府はより開放的なシステムへと移行していくのを助けるような政治的流れを抑え込んできた。流れを抑え込んできただけに(圧力は大きくなっており)、今後政治的危機が起きれば、それが急激な変革につながっていく可能性は高いと思う。(M・ペイ)
H5N1、H1N1への中国の対応に関する私の研究では、地方の公衆衛生当局は依然としてカバーアップ、情報操作、不作為という問題行動をとっている。(Y・ファン)
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政府はより開放的なシステムへと移行していくのを助けるような政治的流れを抑え込んできた。流れを抑え込んできただけに(圧力は大きくなっており)、今後政治的危機が起きれば、それが急激な変革につながっていく可能性は高いと思う。(M・ペイ)
H5N1、H1N1への中国の対応に関する私の研究では、地方の公衆衛生当局は依然としてカバーアップ、情報操作、不作為という問題行動をとっている。(Y・ファン)
エネルギー資源およびその関連技術は世界的に取引されているが、これらの重要な資源や技術をうまく管理していくための国際システムは分散化し、次第に無力化している。グローバルレベルの国際的な金融、貿易枠組みがうまくいっていることからみても、エネルギー領域でもグローバルなルールを導入すべきだろう。国際エネルギー機関を関与させたエネルギー安定理事会を立ち上げ、そこに間違いなく中国やインドを関与させて、資源の投資、開発、調達に関する市場ルールを協議し、あわせてグリーンニューディールをめぐる国際協調も試みるべきだ。このままではエネルギー市場が危機に直面するのは避けられない。
2010年1月号
最終的に、政府が介入しなければ、GMとクライスラーは資金不足に陥るのは分かっていた。民間市場での資金調達は望めない。・・・負債による資金調達さえ望めない状況だった。資金を投入しなければ、すでに月に80万人のペースで失業者が出ていた中西部の工業地帯でさらに300万人が失業することを意味した。政府は、そのような事態は受け入れられないと判断した。(S・ラットナー)
アメリカの自動車メーカーは、他国の企業のやり方に目を向けなかった。相手に学ぶことはないと思えば、すでにあなたはその段階で敗れている。白黒がでるまでの時間の違いはあるだろうが、必ず敗者になる。・・・今回の危機から学ぶ教訓があるとすれば、われわれは中国、インドの自動車メーカーの動向に注目する必要があるということだ。そうしない限り、われわれもまた、米企業と同じ間違いを犯すことになる。 (C・ゴーン)
6者協議にこだわり、北朝鮮とは関係のない北東アジアの非安全保障領域のアジェンダをめぐる多国間協力に関して平壌に拒否権を与える理由はどこにもない。いまや日中韓(プラス3)を、(北朝鮮問題をめぐる)6者協議に協力してきた5カ国のフォーラム(日中韓米ロ)へと拡大すべきタイミングにある。
この枠組みがあれば、北太平洋の主要5カ国が連帯して、経済問題、環境問題、トランスナショナルな課題、外交問題など、非安全保障領域でそれぞれが持つ利益や資源、能力、専門知識をうまく組み合わせられるようになる。安全保障領域での協調は依然として難しいとはいえ、少なくとも、5カ国が朝鮮半島の最終的な統合に向けた移行管理策を含む、緊急対応計画を話し合うことはできるはずだ。
2010年1月号
全盛期の米主要紙の海外支局長には、高級外交官並みの手当てと住宅があてがわれてきた。だが現在は多くの支局が閉鎖されるか、記者がいたとしても1人で、現地のコーディネーター1人、ラップトップコンピューター、携帯電話、事務所兼アパートだけで活動しなくてはならない。だが、うまくやっているメディアもある。通信社(AP通信、ロイター、金融・経済分野のブルームバーグ)は、世界各地に大規模なプレゼンスを維持しているし、いまや通信社の伝統的な守備範囲を超える記事を書ける記者や編集者を擁している。高級誌エコノミストの場合、ストリンガーとわずかな専属記者、そして専門性の高い編集者を組み合わせて、比較的高い価格を正当化するだけの見事な調査記事を毎週送り出している。だが・・・・
「アメリカが積極的に関与しないアジア」が多極化していくことはあり得ない。インドが幾ばくかの対中対抗バランスを形成できるかもしれないが、アメリカが関与しなければ、基本的にアジアは、中国が支配的な影響力をもつ一極支配構造になっていく。アジア共同体については多くのことが言われているが、ワシントンが構想を支持するとすれば、アジアが開放性を維持し、他の世界との統合を重視し、そこでアメリカが重要な役割を果たし続ける場合だけだろう。アジア諸国の多くも、アメリカがそうした役割を果たし続けるのを望んでいると思う。(A・フリードバーグ)
21世紀の新しい現実は、世界のどの地域で人口が減少し、どこで増大するのか、どのような国で高齢者が多くなり、どのような国で若者が多くなるか、世界の人口動態の変化が国境を越えた人の移動にどのような影響を与えるかで左右される。欧米を中心とする先進国は人口面でも経済面でも衰退し、世界経済の拡大はブラジル、中国、インド、インドネシア、メキシコ、トルコ等の新興途上国の経済成長によって刺激される。しかも、若者の多い途上国から労働力不足の先進国へと大きな人の流れが必然的に起きるし、一方で、経済基盤の脆弱な途上国の若年人口が世界で大きな混乱を作り出す恐れもある。必要なのは、こうした21世紀の新しい現実に備えたグローバル構造の構築を今から始めることだ。
金融・経済危機第2幕。永遠には繰り返せない財政出動の効果が薄れてきたときに主要国はどう動き、G20で合意されたグローバル・インバランスの是正に各国はどう取り組むのか。このまま政府介入型の経済運営が続き、国家資本主義が主流になっていくのか。それとも、アジアは内需をアメリカは貯蓄を増やしてノーマルな市場経済へと各国は立ち返り、貿易の新たな流れが生じ、その過程でドルはゆっくりと衰退し、ユーロや人民元が台頭してくるのだろうか。それとも、アメリカが再び「最後の買い手」の役目を引き受け、いずれ第2の金融危機に直目するのか。金融経済秩序が変化すれば国際政治秩序も再編される。そこで浮上してくるのは中国か、それともアメリカが支配的な優位を維持するのか。21世紀が本当にアジアの世紀になるのなら、日本はアジアとアメリカにどう向きあうべきか、そしてアメリカはアジアにどう接すべきなのか。2010年の世界の課題をフォーリン・アフェアーズで検証する。
2009年12月号