オバマ大統領は2010年の年頭教書演説で、5年間でアメリカの輸出を倍増させることを目標にすると表明し、3月には関係閣僚会議、財界指導者による大統領輸出評議会の設置も決め、中国の人民元の切り上げの必要性にも言及している。確かに、1970年代に5年という時間枠で輸出が倍増したことはあるが、この時期にはインフレが起きていたし、実質為替相場が低下していた。したがって、輸出倍増目標を実現するには、かなりのインフレかドル安、あるいはその双方が必要になる。「為替の見直しをせずに、輸出を倍増できると考えるのはナンセンスだが」、中国が人民元の切り上げに応じるかどうかはっきりしないし、インフレにはなりそうにはない。むしろ、「自由貿易路線を進めることこそ、輸出入のバランスをとる最善の策だ」。各国との自由貿易協定を実現し、ドーハ・ラウンドを決着させるとともに、(アジア・太平洋自由貿易圏への道を開く)「環太平洋(戦略的経済)パートナーシップ」のような優れたプロジェクトを現実に立ち上げる必要がある。