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に関する論文

中国の北朝鮮路線は一枚岩ではない

2010年8月号

共同議長 チャールズ・プリチャード 朝鮮半島経済研究所会長
エヴァンズ・リヴィア コリア・ソサエティ前会長
スコット・スナイダー 米外交問題非常勤シニア・フェロー(朝鮮半島担当)

プレサイダー
デビッド・サンガー ニューヨーク・タイムズ ワシントン支局長

北朝鮮の学者、専門家、エンジニア、技術者に別の考え方、別の世界観があることを気づかせることほど、効率的で費用対効果の高いやり方はない。そのための投資をする価値はあるし、今回のリポートのハイライトの一つは、交流を通じて、北朝鮮の認識を内から変化させることを提言したことだ。(E・リヴィア)

タスクフォースは、制裁措置の継続実施を求めつつも、特にミサイル問題についての米朝二国間交渉も検討すべきだと提言している。実際、ミサイル技術を完全にマスターすれば、北朝鮮の地域的な脅威は本物になる。(S・スナイダー)

交渉、6者協議という側面では、われわれは大きな間違いを犯してきた。どうせ、北朝鮮は交渉をひっくり返すのだから、もう交渉するのは止めて、好きにさせればいいと判断してしまった。これは完全な間違いだった。(C・プリチャード)

オンライン・ジャーナリズムとメディアの未来

2010年8月号

共同議長
ビル・ニコルス ザ・ポリティコ編集長
ビジャイ・ラビンドラン ワシントンポスト・カンパニー上席副会長(チーフ・デジタル・オフィサー)
ビビアン・シャイラー 米公共ラジオ放送(NPR)会長兼最高経営責任者

プレサイダー
アルバート・イバルゲン ナイト財団会長

今や人々は多くのソースから情報を入手できるので、「全ての人々のために全てのニュース」を提供する必要はなくなった。・・・ジャーナリズムの世界では本当に驚くべきことが現実になろうとしている。いずれ記者が書いたものにユーザーがコメントを寄せ、双方向の交流が起きるようになるだろう。政治記事についても例外ではなくなるだろう。(V・ラビンドラン)

ユーザーによるコメントの書き込みは非常に力強い。そして、記者がこのコメントに対して双方向の交流をすることは非常に大切だ。これによって、真空地帯のなかでだれかが声を上げている感覚から解放され、どこかの家で話をしているような感じになる。これがNPRの声だ。(V・シャイラー)

「われわれ(メディア)は読者よりも事情通だし、あなたが知っておく必要があることを伝えよう。それをどのように、いつ読むかについても教えよう」。そんな時代は、もう終わっている。この点を理解ししない限り、今後、メディアが成功することはあり得ない。(B・ニコルス)

CFR朝鮮半島タスクフォース・リポート Part2
外からの変革ではなく、北朝鮮の内からの変革を促せ

2010年8月号

共同議長
チャールズ・プリチャード 朝鮮半島経済研究所会長
ジョン・H・ティレリ 元在韓米軍・米韓連合軍最高司令官
ディレクター(リポート執筆者)
スコット・スナイダー 米外交問題評議会非常勤シニア・フェロー

アメリカと韓国は、民主的で市場経済志向の統一された朝鮮半島を実現していくためのそれぞれの責務を特定するための議論を深め、北朝鮮の体制が崩壊した場合に介入が必要になる基準について合意を形作っておかなければならない。両国は北朝鮮の体制、制度、国家破綻というシナリオに対してどのような対応を取り得るかについての政治的協力を模索し、米韓の政治、軍事指導者が協力する「包括的同盟」枠組みを設計する必要がある。・・・アメリカの同盟国であり、朝鮮半島の不安定化への軍事的対応をめぐって後方支援を提供する立場にある日本も、早い段階から協議に参加させる必要がある。・・・一方、朝鮮半島の未来に関する米韓の目的が何であるかに関する明確な了解を基盤に、アメリカは北朝鮮の将来について、・・・中国とのハイレベルでの戦略対話を試みるべきだ。

ヨーロッパ、アメリカ、日本は、高齢化とそれに伴う年金問題、医療制度問題、財政問題を抱えている。若年人口を多く抱える新興国が台頭し、高齢化する先進国が相対的に衰退していくのは、もはや専門家の間では、はっきりとした未来トレンドとして認識されはじめてる。問われているのは、先進国と新興国、途上国の経済・社会交流が今後どのような形態になるかだ。すでにG7からG20へと流れは変わっている。先進国の企業は、途上国のインフラ投資、そして女性の役割に注目しはじめている。先進国の患者が、より安価な途上国での医療を求める医療ツーリズムも大きな流れをつくりだそうとしている。一方、先進国は新興国、途上国からの移民を受け入れざるを得なくなるのだろうか。経済、医療、年金、移民問題をめぐって、日本を含む先進国と新興国・途上国はどのように交流していくのか。

ロシアのNATO加盟を
―― 汎ヨーロッパ安全保障秩序の確立を

2010年7月号

チャールズ・クプチャン ジョージタウン大学教授(国際関係論)

欧米が、ロシアのことを「戦略的なはぐれ者」として扱い続けるのは、歴史的な間違いだ。ナポレオン戦争後や第二次世界大戦後に大国間の平和が実現したのは、かつての敵対勢力を戦後秩序に参加させたからだという歴史の教訓を思い起こす必要がある。冷戦後の現在、ロシアのNATO加盟を実現させることが、汎ヨーロッパ秩序を構築する上でも、NATOの今後に関する論理的な矛盾をなくす上でも最善の方法だろう。グローバルな課題、G20などの国際機関の改革に取り組んでいくにはロシアの協力が不可欠だし、ロシアを参加させれば、加盟国間の内なる平和を促すという、NATOのかつての機能を再確立することにもなる。平和的な汎ヨーロッパコミュニティの実現という新しい目的は、NATOの存在理由を取り戻すことにもつながる。確かに、ハードルは高い。だが、プーチン首相は、大統領になって間もない時期に「ロシアの利益が考慮され、ロシアが(欧米の)完全なパートナーになれるのなら、自分はNATOへのロシアの参加という選択肢を排除しない」と述べている。いまこそ、欧米は決意を持ってプーチンの真意を確かめるべきだろう。

金融超大国・中国の政治的ジレンマ
―― 重商主義路線か資本の自由化か

2010年7月号

ケン・ミラー 米国務省諮問委員会メンバー

圧倒的な規模の外貨準備を持つ中国は、依然として低い一人あたり所得のレベルからは到底考えられないような、金融市場における圧倒的な影響力を手にしつつある。中国の対外投資の目的は、国内の経済成長を刺激し、雇用を創出することで、共産党政府の正統性を維持していくことにあり、必然的に重商主義路線をとっている。だが、これまでのところ、中国がうまく資金を用いているとは言えない。FDI(外国直接投資)はさまざまな理由から伸び悩んでいるし、技術アクセスを得るための先進国の企業買収もうまくいってはいない。途上国のプロジェクトに資金を提供して、中国企業に発注させるやり方も、現地の反発に遭遇している。結局のところ、これまでの重商主義路線は、中国よりも取引相手国により大きな恩恵をもたらしており、いまや中国もその費用対効果が高くないことを認識しつつある。だが、中国が重商主義路線を止めて、資本の自由化に踏み切るには時間がかかる。共産党の権力維持という大きな政治問題が絡んでくるからだ。グローバル経済の安定に貢献するような形で金融パワーを行使するように北京にうまく促すには、ワシントンは中国の国内的な優先課題が何であるかにもっと配慮すべきだろう。

CFR朝鮮半島タスクフォース・リポート Part1
北朝鮮に対する巻き返し策を

2010年7月号

共同議長
チャールズ・プリチャード 朝鮮半島経済研究所会長
ジョン・H・ティレリ 元在韓米軍・米韓連合軍最高司令官
ディレクター(リポート執筆者)
スコット・スナイダー 米外交問題評議会非常勤シニア・フェロー

われわれタスクフォースは、アメリカと韓国は、一体感のある同盟の形成に向けた議論を深め、この枠組みができたら、北朝鮮の政治的不安定化に迅速に対応できる態勢を強化するために、日本、中国、ロシアを取り込んで枠組みを拡大させていくことを提言する。朝鮮半島の将来を議論するために、アメリカは中国との戦略対話を試みる必要もある。

これまで北朝鮮は、核実験を含む、アメリカが定義するレッドラインをことごとく公然と越えてきたが、それでも懲罰措置の対象とされることはなかった。・・・残された唯一のレッドラインとは、「北朝鮮がNPTの枠組みに復帰しない限り、非国家アクターによる核テロが起きた場合に、アメリカは北朝鮮のことを主要な容疑者とみなし、アメリカの即時報復攻撃の対象とする」と警告することだ。・・・オバマ政権にとっての課題は、アメリカの警告の信頼性をいかに高めるかにある。

米政府はこれ以上の「外交の軍事化」を避ける必要があるし、そのためには、「パートナー国の軍事能力を整備すること」を重視していかなければならない。自ら防衛する国を助けるか、必要なら、相手に装備、訓練、その他の安全保障援助を与えて、米軍の傍らで戦う相手国の戦力を整備していくべきだ。問題は、米軍が外国の軍隊を粉砕することを目的に組織されており、(同盟国やパートナー国に)助言や訓練を与え、装備を調えるのを手伝うようには組織されていないことだ。安全保障をより包括的にとらえ、国務省と国防総省の連携をさらに強める必要がある。(外交を含む)国家安全保障システム内部の不均衡を是正しなければ、アメリカの外交政策の「軍事化」がさらに進む。パートナー国が自ら安全保障を強化できるように支援することは、アメリカ自身の安全保障を強化していく上でも重要な意味を持つ。この重大な任務への取り組みを改善していくことを、アメリカの重要な国家優先事項に据える必要がある。

論争 台湾は中国の軌道に入りつつあるのか?

2010年6月号

ヴァンス・チャン 駐米台北経済文化代表処・情報部ディレクター
ハンス・モウリゼン オランダ国際研究所 シニア・リサーチフェロー
ブルース・ジリー ポートランド 州立大学行政大学院准教授(政治学)

エネルギーの利用効率の改善ペースが石油資源の枯渇ペースを上回り続ければ、いずれ石油は低価格であっても市場で見向きもされない資源になる。利用効率の改善によって節約される資源は、いまや米国内のエネルギー供給の五分の二に匹敵する規模に達しており、これこそもっとも急速に拡大している新しい「資源」だ。石油価格を引き下げ、安定させることができるのは、唯一需要サイドでのエネルギー利用効率の改善促進だけだし、利用効率レベルをほんの少し引き上げるだけでそれは実現する。石油の供給を増やすのではなく、使用効率の改善に重点を置いた需要管理措置とクリーンな代替エネルギー促進策を政策の基盤に据えるべきだ。

ウィレム・ブイターが語る先進国の
財政問題とソブリンリスク
― アメリカも日本も潜在的リスクに
さらされている

2010年6月号

◎スピーカー
ウィレム・ブイター
CITIグループ チーフエコノミスト
◎プレサイダー
マイケル・エリオット
タイム・インターナショナル エディター

2~3年後に、アメリカは財政緊縮路線をとらざるを得なくなる。これが、ブッシュ前政権が導入した高額所得者向けの減税措置の打ち切りとタイミングが重なるとしたらどうなるだろうか。この場合、米国債はAAAの格付けを失い、金利の上昇、ソブリンスプレッドの拡大によって、米経済は市場に試されることになる。・・・(日本はどうだろうか)。人々が巨大な政府債務があっても(大きな金融資産を持っているのだから)問題は起きないと考えているうちは、大きな変化はないだろう。だが、多くの人々が、デフォルトに陥ると考えだしたら、どうなるか。この場合、リスクは限りなく大きくなる。投資家が、状況が持続不可能だと懸念するようになれば、現実に、状況は持続不可能になる。・・・いかなる国にも逃げ場はない。(ウィレム・ブイター)

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