災害と政治
2011年4月号

40年前、マグニチュード7・9の地震によってペルーでは6万6000人が犠牲になった。2001年にペルーはさらに大きな地震に見舞われたが、このときの犠牲者は150人未満だった。最初の地震の震源地の人口密度が2度目に地震が起きたときのそれの半分程度だったのは事実だが、それだけでは、これほど大きな犠牲者の違いを説明できない。・・・大きく違っていたのは政治の質だ。2001年のペルーは民主国家だったが、1970年当時は、そうではなかった。・・・民主国家の政治指導者が権力を維持していくには、市民の大多数の信任を得なければならない。そのためには、建築基準を徹底し、官僚制度を有能な行政官に指揮させることで、天災の被害から市民を守らなければならない。政府がこの点での備えを怠り、多くの人が犠牲になれば、政治家は職を失う。