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に関する論文

CFRミーティング
衰退するメディアと興隆するメディア、違いはどこにあるのか

2011年1月号

スピーカー
クラーク・ホイト ブルームバーグニュース顧問
マーク・ホワイテカー NBCニュース上席副会長
司会
スコット・サイモン NPR(米公共ラジオ放送)ホスト

「ブルームバーグが提供するニュースと分析に、ユーザーがかなり高額なコストを支払っているのは、これらがビジネスに利用できる情報だからだ。近く立ち上げる「ブルームバーグ・ガバメント」は、何らかの形で政府とかかわる人々にニュースを提供することを目的にしている。市民を対象にした政府に関する一般情報はいまやある種の大衆消費財とみなされているが、「ブルームバーグ・ガバメント」にはかなりの需要がある」。(C・ホイト)

「新聞、メディア企業およびそのウェブサイトが問題に遭遇しているのは、広告だけに頼らざるを得ないような道を歩んでしまったことだ。広告だけでどうにかなると考え、消費者が必要とする情報サービスが何かという視点をないがしろにしてしまった」。(M・ホワイテカー)

メザニン集団の台頭
―― 国の内側から蝕まれる中東・南アジア諸国

2011年1月号

マイケル・クロフォード 英国際戦略研究所コンサルティング・シニアフェロー
ジャミ・ミスシック 元CIA副長官

レバノン、イラク、アフガニスタン、パキスタンでは、政府と民衆の間に割り込むようにメザニン(中二階)集団が台頭し、確固たる権力を確立しつつある。国に救いを求めても無駄だと考える人々はメザニン集団を血族集団のようにみなし、連帯を強めている。ヒズボラ、マフディ軍、タリバーン、アルカイダ、ラシュカレトイバなどの、メザニン集団は、社会サービスや治安を提供することで、民衆の忠誠を勝ち取り、政府にはできない形で人々を鼓舞する力をもっている。問題は、政府にこれらのメザニン集団を管理する力がなく、しかも、国際法でも、この集団が作り出す問題にうまく対処できないことだ。聖域を利用するメザニン集団は、トランスナショナルなテロの拠点とされているだけでなく、政府を不安定化させる力も持っている。状況を放置すれば、国際的な平和と安定に壊滅的なダメージがおよぶ恐れがある。

CFRインタビュー
ウィキリークスの今後の焦点は
―― 世界中の反体制派が危険にさらされる恐れがある

2011年1月号

ジョン・B・ベリンジャー
前国務省法律顧問外交問題評議会非常勤シニア・フェロー(国際法・国内法担当)

この10年間、外交官たちは、これまでのように情報を相手国政府の高官や中級官僚との公的なやりとりにばかり依存するのではなく、重要な情報を人権活動家、反体制派、政策面で反発している(抑圧)政権内の反政府派から入手するようになった。こうした文書には、中国の反体制派、中東の反体制派が自国の政府について何を言ったかが示されており、そこには個人名も示されている。・・・ より多くの情報が今後公開されると考えられている。中国や中東諸国のように人権概念を重視しない諸国は、文書に名前のある人物の一部を検挙し、弾圧するかもしれない。(J・ベリンジャー)
聞き手はバーナード・ガーズマン(cfr.orgのコンサルティング・エディタ-)

CFRミーティング
通貨戦争、資本管理、 そして国際通貨システムの未来

2011年1月号

スピーカー
ベン・ステイル 米外交問題評議会 国際経済担当シニア・フェロー
アラン・テイラー モルガン・スタンレー シニアアドバイザーアジャイ・シャー インド国立財政政策研究所教授
プレイサイダー
セバスチャン・マラビー 米外交問題評議会・地政経済学センター所長

ロバート・トリフィンが指摘したように、ドルが国際的な準備通貨とされる限り、ドルの世界への供給量が少なすぎても、多すぎても危機が作り出される。つまり、現在の通貨レジームそのものを変えない限り、二つの危機の間を揺れ動くことになる。残された選択肢は二つしかない。・・・・・(B・ステイル)

新興国が変動相場制を懸念し、大規模な外貨準備を積み増したのは、自国通貨建てで債券を発行する力がなかったからだ。・・・だが、いまや多くの新興国はそうした力を持つようになった。これは新興国が次第に途上国を卒業しつつあることを意味する。(A・テイラー)

新興国の外貨準備は危機に対処できるレベルを十分に超えている。特に2002年以降、外貨準備は(輸出に有利な為替を維持するための)重商主義路線の一部と化した。・・・現在われわれは、為替重商主義の時代にある。(A・シャー)

CFRインタビュー
ウィキリークスとインターネットの自由

2011年1月号

アダム・シーガル 米外交問題評議会シニア・フェロー(対テロ、国家安全保障担当)

インターネットの物理的構造は、依然として分散型で多様性に満ちている。この構造は、言論の自由や情報の拡散には適している。だが、より大きな問題がこれから表面化していくことになるだろう。インターネットは本質的にトランスナショナルな性格を持っているが、(ウェブ空間を提供する)企業は物理的なプレゼンスを持っており、(ウェブ上で問題行動が生じると)活動する国の政府によって処罰される。この領域は、まだうまく規制されていないし、概念化も進んでいない。この空間での規範やルールを作り出そうとする動きはある。グローバル・ネットワーク・イニシアティブ(GNI)は、ユーザーに公共空間におけるルールを正式に受け入れさせたいと考えている。・・・・・実際、ウィキリークス問題によって、国家と政府はこの空間でも積極的に活動せざるをえなくなったと判断し、いまや権限を確立しようとしており、一方で、サイバースペースの商業アクターは政府が指針を示すことを求めている。(A・シーガル)

国と国との関係で世界の流れの多くを制御できた時代は、一国だけでは解決できないグローバルな問題の登場と非国家アクターの台頭によって終わりを告げ、いまや、新たにインターネットで結ばれた市民による相互接続権力が台頭している。しかも、新興国はグローバルな問題への対応に応分の貢献をしようとせず、先進国経済は財政赤字、債務、人口減によって危機の瀬戸際に追い込まれている。変わりゆく世界を主導するのはアメリカかそれとも中国か。不満や意見を表明する手段の爆発的な増大とともに、国の力は失われていくのか、それとも・・・。フォーリン・アフェアーズが描く2011年の世界に、日本は居場所を見つけられるのか。

アジアは多極化し、中国の覇権は実現しない

2010年12月号

キショール・マブバニ シンガポール国立大学行政大学院院長

アジアの国際環境は多極化していく。中国が台頭しているとはいえ、誰もがアメリカがアジアでの強固なプレゼンスを維持していくことを願っているし、インドもパワーをつけて台頭しているからだ。この環境では、中国は地政学的に非常に慎重な行動をとらざるを得ない。中国にとっての悪夢のシナリオは、あまりに高圧的な路線をとって反発を買い、アメリカ、日本、ロシア、インド、さらにはベトナム、オーストラリアを結束させてしまうことだ。当然、中国はこの悪夢のシナリオが現実と化すのを避けようとするだろうし、自国の行動をもっと慎重に考えるようになると思う。誰もが唯一の超大国として中国が台頭してくるのではないかと心配しているが、私はそうはならないと考えている。(K・マブバニ)

インターネットは自由も統制も促進する
――政治的諸刃の剣としてのインターネット

2010年12月号

イアン・ブレマー
ユーラシア・グループ代表

インターネットテクノロジーはメガホンであり、拡散機能を持っているが、この機能は、国境を越えた情報拡散の促進を望む人々だけでなく、この流れを遮断し、悪用する人々も利用できる。メディアとしてのインターネットが、民主主義を求める声を増幅させるのは、すでに、民主主義への希求が存在する場所においてだけだ。一方、権威主義国家は、彼らにとって好ましくない情報の自由な流れをブロックするために、そして、政府の立場や考えを拡散するために、情報テクノロジーを利用している。最終的には、世界のあらゆるインターネットがさまざまな政府による詳細な監視の対象にされるようになるだろう。事実、欧米のハイテク通信企業は、いまや自らを軍需企業のように考えだしている。インターネットが消失することはない。だが欧米諸国が使用し、一方で、権威主義国家の意向を満たすような一つのインターネットが存在すると考えるのは現実的ではないだろう。

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