
エジプト、リビア、チュニジア、バーレーンなど、外国の原子力企業となんらかの合意を交わしていた中東・北アフリカ諸国政府は、政治的混乱のなかですでに倒れるか、政権の存続を脅かすような国内的混乱に直面している。現状では比較的安定しているヨルダンやサウジアラビアなどでもデモは起きているし、同様に、将来において、国内が極度の混乱に陥っていくリスクは存在する。・・・中東・北アフリカ情勢が混乱し、しかも、フクシマ原発危機が収束していないこともあって、ワシントンは、数億ドル規模の資金をもたらすとはいえ、北アフリカ・中東諸国の原子力施設建設契約にしだいに否定的になっている。実際、今後の紛争において、原子力施設が後方攪乱の対象にされれば、これまでの紛争の象徴とみなされてきた「炎上する油田の煙」が、「市民生活の拠点である都市、水や食糧の供給を汚染する放射性降下物」にとって代わられていくかもしれない。・・・