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に関する論文

Foreign Affairs Update
暗闇で輝く豚肉と爆発するスイカ
―― なぜ中国の食品は危険なのか

2012年4月号

トマス・トンプソン リージェントグループ・リサーチディレクター

メラミン混入ミルク、成長促進剤を添加されて爆発するスイカ、赤みを増すために薬剤を添加され暗闇が輝く豚肉など、中国の人々がもっとも懸念しているのは、高く売るためなら、食品に人体に有害な薬剤を添加することも厭わない農家や業者が作り出した食品汚染危機が大きな広がりをみせていることだ。危機は、市場経済の拡大ペースに応じてビジネス倫理を確立できず、規制もそのペースについていけていないことによって引き起こされている。「偽造品や汚染食品を作る人も、他の危険な食品の犠牲者であり、この社会では誰もが他人に対して毒を振りまいている」状況にある。・・・いまや社会破綻というシナリオでさえも、現実離れしているとは言えない。

不安定な新世界、動かない資金
――長期ビジョンとコンフィデンスの喪失

2012年4月号

◎スピーカー
ローレンス・D・フィンク ブラックロック理事長兼最高経営責任者
◎司会
マリア・バーティロモ CNBCニュース アンカー

われわれは、さまざまな台風が重なり合って巨大な嵐が作り出されるパーフェクトストームに直面しているようなものだ。高齢化する人口、経済のデレバレッジ、世界経済の成長エンジンの(新興国への)シフトと雇用の変化、そして低成長と低配当のなかでの所得格差の拡大が重なり合っている。これが、人々がまさによりよい配当とより優れた経済機会を求めているタイミングで起きている。パーフェクトストームのなかにある以上、コンフィデンスは損なわれ、ボラティリティが高まる。誰もが、現在の強い風がどこに向かうかを気にしている。・・・必要なのは教育への投資を含む、長期的投資、そして市場を再び動かし、成長を回復し、貯蓄を長期的な投資に置き換えていくためのコンフィデンスを再生することだ。(L・フィンク)

政治から離れ、宗教へ回帰する米宗教界
―― 宗教右派台頭の一方で進む宗教離れ

2012年4月号

デヴィッド・E・キャンベル ノートルダム大学准教授
ロバート・D・パットナム ハーバード大学教授

この20年にわたって「教会のミサに参加するかどうか」が、共和党と民主党の有権者を分ける大きな指標とされてきた。現状では、宗教がアメリカ政治、特に右派勢力の立場に与える影響が非常に大きくなっているが、この現実に対する反発も大きくなっている。保守的価値、宗教的価値が否定された1960年代の反動として、その後、福音派を含む、伝統的な宗教が復活したが、いまや、この20年間で組織化され、政治的な影響力を増した宗教組織に対する反発が若者を中心に大きな広がりをみせている。特にアメリカの若者たちは、「宗教心をもつことがたんに保守政治を支持することを意味するのなら、宗教にはかかわらない」と考えている。宗教右派の台頭と宗教の政治化を前に、多くの人が宗教そのものに背を向け始めている。共和党指導者にとって頭が痛いのは、支持層の一部が強く支持する政治と宗教の融合というテーマに対して、一般有権者がますます嫌悪感を示し始めていることだ。

CFR Expert Brief
アウンサンスーチーと軍の現実主義が支える
ミャンマーの変化

2012年3月号

ジョシュア・クランジック /CFR東南アジア担当フェロー

ミャンマーの軍事政権はなぜ改革を認めたのか。その理由は今もはっきりしない。将軍たちは、自分たちが信用するテインセインに段階的な改革を進めさせれば、報復を伴う民衆蜂起を回避できると考えたのかもしれない。あるいは、中国との関係を強化したことが、逆に中国に依存することへの警戒感を高め、欧米へのアクセスを求めてミャンマーを変革路線へと向かわせた可能性もある。政府はいまも問題を抱えているが、アウンサンスーチーは、今回が国のために貢献できる最後のチャンスであることを理解しているためか、政府に積極的に協力している。いずれにしてもアウンサンスーチーを変革プロセスの中心の据えることが不可欠だ。困難な現状を乗り切るのに必要な道義的正統性をもっているのは彼女だけだ。一方、現状で、過去の犯罪を暴いて高齢の将軍たちを政治の道具にすれば、ミャンマーのチャンスは潰され、改革の流れは潰えることになるだろう。

Foreign Affairs Update
シリアを擁護するロシアの立場
――宗派間抗争と中東の地政学

2012年3月号

ドミトリ・トレーニン カーネギー・モスクワセンター所長

ロシア政府の高官や政府に近い専門家の多くは、昨今における欧米の行動を非常にシニカルにみている。「ワシントンは、エジプトでの影響力を確保しようと古くからの同盟パートナーであるムバラクを見限り、石油契約を維持するためにリビアとの戦争に関与し、アメリカの第五艦隊の基地が存在するという理由でバーレーンへのサウジ介入に見て見ぬふりをした。そしていまや、イランからアラブ世界における唯一の同盟国をとりあげようと、シリアのアサド政権を倒そうとしている」。ロシアはこれらの戦争に直接的な利害は持っていない。だが少なくとも、危険で根拠を失いつつあるかにみえるアメリカの地域戦略の尻馬に乗りたいとは考えていない。・・・モスクワのシリアへの態度は、最近におけるリビアの運命、シリアの反体制派に対する不信、そして、アメリカの意図に対する懸念によって規定されている。

The Clash of Ideas
アジアのナショナリズムと革命思想(1950年)

2012年3月号

ジョン・K・フェアバンク ハーバード大学教授(中国史)

1930年代初頭、毛が引き継いだ共産党は衰退途上にあった。事実、1937年に日本が中国を侵略するまで、共産党は中国政治ではまったく目立たない存在だった。しかしその後共産党は、中国北方における愛国主義運動の指導的役割を担うようになった。外国の専門家が彼らを愛国主義者と呼んだのは間違いではなかった。外国の侵略者が家屋に火を放ち、虐殺行為を行っているさなかに、農民を組織するのは簡単ではなかったが、日本軍の行動が、結果的には中国北部の農民を中国共産党の懐へと送り込んだ。共産党側は準備万端調えて、農民が自分たちのところへ転がり込んでくるのを待っていればよかった。重要なポイントは、あえて地主階級への反対を前面に出すより、むしろ抗日戦への愛国主義を訴えるほうが、国内の青年知識層が呼びかけに応じる可能性が高いことを共産主義勢力が理解していたことだ。

日本はこれまで最先端の原子力技術の開発を試み、この領域のリーダーになることを目指してきたが、フクシマを経たいまや、原発施設の再稼働に向けて社会の支持を得られるかどうか、先の見えない状況に追い込まれている。・・・現在日本は、(原発停止による電力生産の低下を火力発電で埋め合わせようと)より多くの液化天然ガス(LNG)を輸入しているが、LNG価格はかつての3倍のレベルへと上昇している。しかも、(日本の現実を考えると)原子力による電力生産の多くを再生可能エネルギーに置き換えていけるとも思えない。原子力による電力生産の多くを再生可能エネルギーに置き換えていこうにも、日本は風力、ソーラー、地熱など再生可能エネルギーの促進を阻む構造的な障害を持っているからだ。電力会社も関係省庁も大規模な電力生産施設を好む文化的体質を持っており、風力やソーラーなどの基本的に「分散型」の技術導入には難色を示す傾向がある。この文化を政治的な意思とリーダーシップで変化させていくには、かなりの時間がかかるかだろう。

The Clash of Ideas
ヒトラーのドイツ(1933年)

2012年3月号

ハミルトン・F・アームストロング フォーリン・アフェアーズ誌初代編集長

人々は忽然と姿を消した。この14年間、ワイマール共和国の政府要人、あるいはビジネスの指導者として世界が見聞きしてきた人々は忽然と表舞台から姿を消した。例外はあるが、この波は大きなうねりとともに社会を飲み込み、連日のように、一人ずつ、昔日の指導者や仲間たちがナチスという暗黒の海にさらわれていく。

あまりにワイマール共和国の面影がなくなってしまったために、ナチス党員には、ここにかつて共和国が存在したことさえ信じられないかもしれない。このうねりは、命令を下す叫び声や行進の足音で途切れた悪夢よりも、めまぐるしいペースで社会を飲み込んでいる。・・・

Foreign Affairs Update
フクシマ危機を前にホワイトハウスはどう動いたか
―米市民の保護か日米関係への配慮か

2012年3月号

ジェフリー・A・ベーダー 前米国家情報会議東アジア担当シニアディレクター

われわれはフクシマ第1原発で何が起きているかの情報収集に奔走した。「日本政府は分かっていることのすべてをわれわれに伝えるつもりはなく、状況を取り繕っているのではないか」と考える者もいた。だが、大統領の科学技術担当顧問を務めるジョン・ホルドレンは、「原子炉内の状態を把握するための装置がどれも機能していない以上、大枠の情報しか入手できないのは無理もない」と日本側の対応に一定の理解を示した。・・・だが、フクシマの事態が容易ならざるものであることは明らかだった。・・・われわれは、日本からの避難を求める米大使館や軍関係者のアメリカ人家族(配偶者や子供)の意向を尊重したかった。しかし、われわれは日本の社会をパニックに陥れることは望んでいなかったし・・・将来の日米関係にダメージが出ないようにする必要もあった。・・・

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