1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

に関する論文

Foreign Affairs Update
意外にローカルなツイッター

2012年5月号

ユーリ・タクテエフ
トロント大学准教授
バリー・ウェルマン
トロント大学ネットラボ所長
アナトリー・グルーズド
ダルハウジー大学情報管理大学院准教授

ツイッターの機能は新しい関係を築くというより、むしろ、既存の関係を強めるところにあるようだ。実際、ある程度の距離を隔てた二人のツィッターユーザー間のつながりの可能性を予測する上でもっとも確度の高い判断材料となるのは、その二地域間を結ぶ航空フライト数の多さだ。言い換えれば、ツイッターはロンドンのユーザーと「遠いどこか」の誰かを結び付けるよりも、ニューヨークとロサンゼルスのユーザーを、より強く結び付けている。ツイッターのユーザー(とフォロワー)の多くは特定の地域内に集中している。現在の世界において国際的なつながりの重要性が増しているのは間違いないが、ツィッターのつながりは基本的にローカル色が強く、デジタル時代が到来するはるか前から存在するつながりを強化しているにすぎない。・・・世界はフラットではなく、いまもでこぼこしている。

CFR Interview
追い詰められたギリシャ

2012年5月号

ライン・ベッグ ロンドンスクール・オブ・エコノミクスユーロ研究所、専門リサーチフェロー

ギリシャの有権者が緊縮財政よりも成長を重視する政党を選び、それでもEUとIMFから支援を確保するつもりなら、相手にもっと柔軟な態度を取ることを受け入れさせなければならない。これは、言ってみれば肝試しのようなものだ。

大統領選後のフランス
――「力強いフランス」か「内向きの保護主義か」

2012年5月号

ソフィー・ムニエ ウッドロー・ウィルソンセンター リサーチスカラー

反グローバル化は形を変えつつも、フランスでは今も昔も大きなアジェンダだ。反グローバル化がすでに政治的主流派のアジェンダに組みこまれているために、大きく取り上げられないだけの話だ。多くのフランス人はグローバル経済からの恩恵を受けていないと考え、保護主義的措置の導入を求めている。そもそも、労働組合の組織率が低く、政治家の多くが民間での経験がないフランスでは、企業が悪いイメージでとらえられている。有権者はEUも否定的にとらえられ始めている。問題は、現実にはフランスが大きな恩恵をグローバル化から引き出していることだ。指導者たちは、フランスの経済成長にはグローバル化が不可欠であることを理解しているが、悲観主義に陥っている大衆をなだめつつ、貿易と投資の自由な流れを水面下で着実に促進していかなければならない状況に追い込まれている。グローバル化の犠牲になっているというイメージと、フランスの国際的な影響力の維持という二つをいかに和解させるかが、今後問われることになる。

もはや民主主義では問題を解決できなくなったのか。アメリカの政治は機能不全に陥り、日本は危機対応を巡って無力さをさらけ出し、将来の危機に備えることもできずにいる。ヨーロッパはすでに大きな危機のさなかにあり、ヨーロッパ統合そのものが危機にさらされている。かたや、権威主義の中国が台頭している。金融資本主義の落とし子としての金融危機が先進国経済を衰退させ、グローバル化が新興国を台頭させるなか、何が将来を左右することになるのか。誰もが新しい思想とモデルを模索し始めている。

CFR Interview
北朝鮮の衛星発射実験後、何が起きるか
――2009年の悪夢の再現か

2012年4月

スコット・スナイダー /米外交問題評議会シニア・フェロー (朝鮮半島問題担当)

国際社会が北朝鮮の衛星発射実験を懸念しているのは、衛星打ち上げに必要な技術を大陸間弾道ミサイルにも応用できるからだ。この技術を洗練していけば、核ミサイル能力も強化される。衛星実験は既定路線であるだけでなく、現在、権力移行期という政治的に微妙な時期にあるために、実験を取りやめるとは考えにくい。要するに、ピョンヤンは国内のリーダーシップ強化に必要なことが、国際的にはネガティブにとらえられてしまうというジレンマに直面しており、この意味で、国際社会で譲歩を示せば、国内政治面ではマイナスに作用する・・・今後何が起きるかを考えるには、2009年の展開を思い起こすべきだ。北朝鮮の衛星発射は国連で問題として取り上げられ、なんらかの声明か決議が採択され、北朝鮮はこれに否定的に反応する。その後、核実験を試みた。これが3年前に起きたことだ。

CFR Meeting
高齢社会を前向きにとらえよ
―― 危機を機会に変えるには

2012年4月号

ジョセフ・F・カフリン/MIT エイジラボ所長
ケリー・ミッチェル/エイゴンUSA 上席副会長
マイケル・W・ホーディン/米外交問題評議会グローバルヘルス担当シニア・フェロー

「高齢化をとらえる上で重要なポイントは、長生きすることよりも、より幸せに生きるという視点を持つことだ。・・・隔離された高齢者の世界を形作るのは魅力的な選択ではない。・・・生涯で60-70年におよぶかもしれない勤労期間において3つか4つの異なる職種に就けるような制度が必要だろう」。(J・カフリン)

「すでにアメリカでは老後は(公的支援だけではなく)自助で支えるべきで、引退後に備えておくべきだとみなす文化へと向かっている。・・・現在の仕事に、引退年齢を超えてさらに10-15年働けるかどうかは、どのような企業や産業で働いているか、その企業や産業が、(引退年齢に達した)従業員がそれまでの経験から身につけている知的資本を評価するかどうかに左右される」。(K・ミッチェル)

「90歳の老人の面倒をどのようにみるかという視点も大切だが、経済成長を実現し、財政の持続性の問題を解決することにもっと焦点を合わせる必要がある。・・・20世紀に入ってから現在までに平均寿命は約30年延びている。われわれが90歳まで生きるのなら、引退年齢やそれに伴う政策も変化させなければならない」。(M・ホーディン)

イラクはなぜシリアを擁護しているのか
――「イラン化するイラク」に苛立つスンニ派アラブ諸国

2012年4月号

モハマド・バッジ 米外交問題評議会中東担当シニア・フェロー(非常勤)

スンニ派湾岸諸国は、イラクのマリキ政権がシーア派イランと同盟関係にあること、イラクの生活へのイランの影響が大きくなっていることに不快感を覚えている。だが現在のイラクはイランに多くを依存しており、マリキ首相がイランとの関係を清算することはあり得ない。

宇宙探索を続けるべき理由

2012年4月号

ニール・ドグラース・タイソン
アメリカ自然歴史博物館
ヘイデンプラネタリウム館長

天体物理学者、生物学者、化学者、エンジニア、惑星地質学者などでチームを組む宇宙探索ほど領域を越えた技術の応用を促すものはない。例えば、宇宙の天文台ともいわれるハッブル宇宙望遠鏡の画像処理をめぐる技術革新が医療分野に応用され、マンモグラフィーを通じたガンの早期発見に役立てられ、多くの女性たちがガンの脅威から解放されている。だが、いまや財政、党派対立に足をとられて、アメリカの宇宙開発計画は停滞し、一方で中国が自立的な宇宙志向国家(スペースパワー)への道を着実に歩みつつある。例えば、火星の地表にはなぜ液体が存在しないか。何か悪いことが火星に起きたわけで、似たようなことが地球でも起きていないかどうか、その兆候を特定することは非常に重要だ。経済的に困難な時代にあるとしても、宇宙探索への投資は経済を刺激し、人々の期待を満たし、次世代の人々の夢を育むことができる。

Page Top