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に関する論文

Foreign Affairs Update
偽造医薬品の恐怖

2012年8月号

ティム・マッケイ カリフォルニア大学博士課程(グローバルヘルス専攻)
ブライアン・A・リャン 患者を守るサンジェゴセンター
トマス・T・キュービック 医薬品安全研究所所長

これまで世界保健機関(WHO)は「市場に流通している医薬品の15%程度が偽造品である危険がある」と公表してきたが、アフリカや東南アジアでは医薬品の実に50%程度が偽造品だ。医薬品市場には相当規模の偽造品が入り込んでおり、その種類も多岐におよんでいる。もちろん、その品質も信頼できない。おもに中国やインドで生産されている偽造医薬品は、いまや貿易を通じて世界へと拡散している。2005年から2010年という時間枠でみると、アジアでの偽造医薬品の流通は246%増、ヨーロッパは131%増、中近東は105%増、そして北米が77%増という具合だ。インターネットを利用すれば、どの国にいても外国で販売されている偽造医薬品を購入できる。問題は、オンラインで販売されている9600を超える医薬品を検査したところ、その97%が「推奨に値しない」ことがわかっており、しかも、これが医療の現場にまで入り込んでしまっていることだ。

銀行同盟でユーロゾーンを救えるか

2012年08月

ドメニコ・ロンバルディ
ブルッキングス研究所シニアフェロー

通貨同盟が存在するのに、ユーロ危機以降、資金は投資国へと舞い戻り、資金が国境を越えて動かなくなってしまった。「単一の銀行監督機関があり、しかも、窮地に追い込まれた銀行を、政府を経由せずに直接的に支える制度があれば、ユーロゾーン内での資金の流れを取り戻すことができる」。これが銀行同盟の基本的アイディアだ。・・・だが、完全な銀行同盟を立ち上げるには、かなり踏み込んだ財政同盟が必要になる。

金融危機で揺るがされるEUの政治的未来

2012年8月号

チャールズ・クプチャン
米外交問題評議会ヨーロッパ担当シニア・フェロー

本来であれば、通貨統合の進展に併せて政治領域での統合も深化させるべきだった。具体的には、財政統合、銀行同盟を制度化するとともに、アメリカの連邦準備制度(FRB)並の大きな能力と権限を持つ欧州中央銀行を作り上げるべきだった。だが、ヨーロッパはこれらの監督機関が必要であることを理解していたにも関わらず、ユーロ導入へと見切り発車をした。適切な監督機関がなく、しかも、北ヨーロッパと南ヨーロッパの経済体質に大きな違いが存在したことが、ユーロの命運を脅かし続け、今日に至っている。そしていまや、危機に対応するためにも、EUの統合をさらに深化させるべきかどうかが問われている。だが、イギリスがEUから脱退する可能性も排除できないし、金融危機が長期化するなか、ヨーロッパ市民の間ではEUに対する反発が高まっている。

戦略的ビジネス外交の薦め
―― 途上国経済を支配する中国企業への対抗策を

2012年8月号

アレキサンダー・バーナード
グリフォン・パートナーズマネージング・ディレクター

中国政府は途上国政府に低利の融資その他の支援を提供し、多くの場合、その見返りに、相手国に中国国有企業の資源開発へのアクセスを与え、インフラ整備プロジェクトを受注させることを求める。このやり方を通じて、中国企業は途上国の経済に食い込み、いまや新興市場国は自国の経済的生存を中国に依存するようにさえなっている。だが、巻き返しのチャンスはある。途上国の多くが「自国の経済を中国に支配されている現実」に反発しているからだ。「中国国有企業は相手国の労働者を雇うのではなく、自国から労働者を呼び寄せ、環境的配慮をせず、開発に古い技術を用いて(資源にダメージを与える)」というネガティブなイメージが定着しつつある。一部の途上国は中国にばかり依存するのではなく、経済関係の多様化を図りたいと考えている。途上国における中国国有企業に対する不満が高まっているだけに、この重要な市場で、アメリカがイニシアティブを取り戻すチャンスが生まれている。今こそ、戦略的ビジネス外交を展開すべきタイミングだ。

CFR Meeting
朝鮮半島で何が起きているか
――もう韓国が挑発行為に耐えることはない

2012年8月号

◎スピーカー
玄仁沢/高麗大学一民国際関係研究院
金泰栄/前韓国国防相
◎プレサイダー
チャールズ・プリチャード/コリア経済研究所所長

これまで北朝鮮による数多くの挑発行為に直面してきた韓国市民の多くは、いまや、挑発行為に対する反撃だけでは十分ではなく、より強硬な報復策が必要だと考えるようになっている。・・・こうした堅固な社会コンセンサスを基盤に、反撃だけでなく、対抗策、報復策をとる必要が出てきている。(金泰栄)

北朝鮮にとっての選択肢は二つしかない。核開発プログラムの放棄に応じるか、社会・経済の改革・開放路線を取ることだ。北朝鮮が生き延びるにはこの二つのいずれかを選ぶしかない。だが、彼らは一体何をしているだろうか。3度目の独裁体制の確立を試みている。(玄仁沢)

CFR Meeting
北米エネルギー安全保障の衝撃
――中東石油への依存度が半減すれば

2012年8月号

スピーカー
レックス・W・ティラーソン /エクソンモービルCEO
プレサイダー
アラン・マレイ /ウォールストリート・ジャーナル

いずれも大きな資源をもつカナダ、アメリカ、メキシコからなる北アメリカという枠組みでエネルギー政策、エネルギー安全保障をとらえればどうなるだろうか。資源の規模、使用できるテクノロジー、そして共通点の多い政策という点からみて、地域的な「エネルギー安全保障」の確立も視野に入ってくる。・・・仮にアメリカがペルシャ湾岸から原油を輸入する必要がなくなれば、国家安全保障政策も変化する。・・・アメリカが中東での軍事資源をどこか別の場所に移すと言い出せば、おそらく、大規模な石油消費国(中国)がその空白を埋めようとするだろう。・・・だが、重要なポイントは、中東石油がグローバル経済の安定の鍵を握っていることだ。この点では、中東石油への依存度を減らしていくとしても、アメリカはこの地域に今後も大きな関心を向けざるを得ないはずだ。・・・(R・W・ティラーソン)

インド経済の政治不況

2012年8月号

プラタップ・バーヌ・メータ
インド政策研究センター理事長

2010年に2桁の経済成長を遂げたにもかかわらず、いまやインドの経済成長は鈍化し、財政赤字が拡大し、インフレも上昇している。民族と宗教を超えた国づくりも行き詰まり、所得格差が拡大している。わずか2年前には「輝かしい未来が待っているのは間違いないと思われたインドの空の半分には、いまや暗雲が立ちこめている」。実際には、2009年当時と同様に、インドは今も世界の経済大国の仲間入りを果たす力を持っている。問題は政治が経済成長を邪魔していることだ。最近のインドで頻発している社会騒乱の多くは、インドの台頭によって民衆の期待が高まったにもかかわらず、ニューデリーがその期待に応えることができずにいることが原因だ。人々は政治家が経済運営に失敗し、社会保障システムを機能させられずにいることにあきれ果てている。しかも、政治家たちは失敗を認めて政治倫理の回復に努めるどころか、責任逃れに終始している。現在の「インド病」の原因はここにある。

Foreign Affairs Update
ハイテク企業の政治的・外交的影響力強化を
――シリコンバレーと外交政策

2012年8月号

アーネスト・J・ウィルソン 南カルフォルニア大学教授(クリントン政権国家安全保障会議スタッフ)

農業やエネルギー部門のように、産業利益を戦略的に定義している産業は、その利益を的確に見極めた上で、特定アジェンダの実現に向けてロビイングを展開する。だが、ハイテク部門は、政治的中枢から遠く離れ、業績の浮き沈みが激しく、集団的行動よりも個人の好みを優先する文化を持っている。このため、産業単位で政治的集団行動をとるのが決してうまいとはいえない。・・・だが、アメリカ経済の中枢はすでに製造業からハイテク・フロンティアへと移動している。ハイテク産業の指導者たちは、自分たちにとって好ましい外交政策がどのようなものであるべきかについての枠組みを定義し、シンクタンク、大学、政府のあらゆるレベルに接触し、自分たちが好ましいと考える政策の具体像を伝え、政策として具体化していく必要がある。・・・政府も農業や製造業の利益ばかり考えていればよかった時代がすでに終わっていることを認識する必要がある。

ギリシャの財政赤字隠蔽問題に端を発する危機は瞬く間に周辺国のソブリン債務危機と化していった。いまやユーロ危機はいくら救済策をとっても火を消せないヨーロッパ全体を覆う銀行危機へと姿を変えつつある。ここで銀行を救済すれば、公的部門の債務はますます肥大化し、今度はフランスを含む、ヨーロッパ主要国がソブリン危機に直面する危険さえある。かたや、緊縮財政への反発からヨーロッパの政治の流れは変わり、すでにマーストリヒトのルールは放棄されている。「ギリシャ後」もユーロは存続できるのか、そしてEUはユーロショックに政治的に持ち堪えることができるのか。世界経済を揺るがすユーロ危機の全貌。

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