韓国の新ミサイル指針
―― 北朝鮮の反発と地域的波紋
2012年10月

射程800キロで弾頭重量500キロの弾道ミサイルを韓国が配備することへの米韓合意が10月に成立した。北朝鮮国防委員会は予想通り、強い反発を示し、北朝鮮のミサイルは「朝鮮半島の米軍基地だけでなく、日本、グアム、米本土の米軍基地を攻撃する能力ももっている」と示唆した。現実からみれば、これは口先だけのブラフだが、この展開を前に平壌が新たに衛星打ち上げを試みる危険はある。今回の合意によって、米韓同盟関係はさらに進化し、韓国が自国の安全保障の管理についてより大きな責任を引き受ける純然たるアメリカの軍事パートナーへと進化したのは間違いない。問題は、韓国の弾道ミサイルの射程が拡大されることで、地域的な軍拡レースが起きる危険があること、そして、韓国が長距離ミサイル能力を開発すれば、加盟国に300キロ以上の射程をもつミサイル開発と輸出の自粛を求めるミサイル技術管理レジーム(MTCR)が潜在的に揺るがされる危険が出てくることだ。