2011年にホスニ・ムバラクが権力を失って以降、エジプトの歳入レベルは大きく低下した。ビジネスは停滞し、混乱する政治状況ゆえに投資も干上がり、一方で、歳出は増大の一途をたどった。外部からの資金援助が必要だったが、エジプトはIMFに背を向けてしまった。「国家としてのプライド」。これが、IMFの条件(コンディショナリティ)の受け入れをエジプトが拒んだ大きな理由だった。一方で、湾岸諸国がこのアラブ世界の中枢国に進んで援助と融資を提供した。だが、いくら援助を確保しても、経済改革をしないことには根底の問題は解決されない。こうして、エジプト社会はいまも不満を抱く材料には事欠かない状況にある。対応が必要なシステミックな問題に直面した諸国にとって、改革を先送りできる援助を友好国から確保できても、必ずしも助けになるわけではない。エジプトはIMFと世界銀行ならうまく提供できるが、湾岸諸国にはできない支援とテクニカルなアドバイスを依然として必要としている。