日本の新安全保障戦略の真意はどこに
2014年2月号
前回防衛大綱がまとめられて数年しか経っていない現状で、新たに防衛大綱が慌ただしく改訂されたことをもって「安倍晋三首相は、東シナ海の問題をめぐって、一か八かの瀬戸際政策を北京に挑むつもりだ」と結論づける専門家もいるし、中国国防部は日本の防衛大綱について「地域の緊張を高め、地域情勢を混乱させようとしている」と強く非難している。だが、日本の国家安全保障戦略が右傾化していると騒ぎ立てるのは間違っている。安倍首相の挑発的な靖国神社参拝は問題があるが、政府が試みている安全保障改革と首相の個人的な見解を混同すべきではない。新戦略や日本版NSCは、中国問題だけでなく、幅広い分野において迅速に重大な国家安全保障上の決定を下すために不可欠なツールだ。日本の新しい安全保障戦略についてバランスのとれた解釈をするには、中国にばかり焦点を合わせるのではなく、日本を取り巻く安全保障環境、アメリカの主要な地域同盟国としての日本の役割、そして、日本がアジア・太平洋地域の安全保障を促進する有資格国であるという全ての点を考慮する必要がある。