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に関する論文

エルドアン・トルコ大統領との対話

2014年11月号

レジェップ・タイイップ・エルドアン トルコ大統領、ファリード・ザカリア CNNファリード・ザカリアGPS, ホスト

テロと戦うことに、われわれはいささかの迷いもない。テロに屈するつもりもない。トルコはテロの矢面に立たされており、すでに4万人が犠牲になっている。・・・トルコはイラク及びシリアと1210キロの国境線を共有しており、この国境線を守らなければならない。われわれはアメリカその他に国に、この国境線沿いに飛行禁止空域を設定することを提案している。これが実現すれば、より効果的なテロ対策をとれるようになるだろう。・・・現状でトルコ内に6000人の外国人イスラム過激派が入り込んでいるとわれわれはみている。れわれは入国と出国のポイントでイスラム過激派の動きを厳格に監視しているが、過激派は別の国境ポイントから出入りしている。そうした過激派の名前が分かれば、トルコはより安全な場所になる。彼らが旅券をもち、銃をもっていなければ(入国を許され、再び国境線を越えて)最終目的地で銃を手にする。だが、名前が分かっていれば、トルコに入国する段階で、それを阻止できる。・・・

論争 北朝鮮の崩壊を歓迎すべきか
―― 半島統一の理論

2014年11月号

ジョン・デルーリー 延世大学助教授
チャンイン・ムーン 延世大学教授
スー・ミ・テリー 元米中央情報局(CIA)上席分析官

スー・ミ・テリーは「「北朝鮮の崩壊を恐れるな―― リスクを上回る半島統一の恩恵に目を向けよ」(2014年7月号)で、朝鮮半島の統一が韓国を経済的・社会的に押しつぶすわけでも、アメリカ、中国、日本に受け入れがたいリスクを作り出すわけでもない」と主張し、「朝鮮半島の統一はドイツ統一以上にコストがかかり、多くの課題を伴うこと」を認めつつも、「北朝鮮の崩壊と半島の統一を回避すべきだと考えるのは間違っている」と結論づけた。これに対してジョン・デルーリーとチャンイン・ムーンは「決して実現することのない北朝鮮崩壊という仮説」に備えるのではなく、むしろ、段階的統合を模索すべきだと批判する。・・・

貿易の戦略的ロジック
―― 貿易協定の政治・安全保障的意味合い

2014年11月号

マイケル・フロマン 米通商代表

いまや各国の指導者たちは、貿易を通じて得られる経済的影響力が軍事力を支えるための財布以上のものであること、つまり、貿易政策が国家安全保障政策、財政政策、金融政策的な機能さえ持つようになっていることを理解している。貿易を通じて長期的な協力を続ければ、国家間の誤解は減少し、信頼が高まり、安全保障を含む幅広い分野での協力に道が開かれる。さらに、財政政策や金融政策の経済刺激効果に限界がある現状では、貿易政策は優れた成長のエンジンとしても機能する。しかも、アジアとヨーロッパの周辺で緊張が高まっていることを考えると、環太平洋パートナーシップ(TPP)と環大西洋貿易・投資パートナーシップ(TTIP)の戦略的・安全保障上のメリットはますます際立ってくる。・・・

解体する秩序
―― リーダーなき世界の漂流

2014年11月号

リチャード・ハース 米外交問題評議会会長

アメリカの覇権は廃れつつあるが、バトンを引き継ごうとする国はなく、今後、現在の国際システムはさらに雑然としたシステムと化していくだろう。国際ルールを守るのではなく、独自の利益を重視する非常に多くの国がパワーセンターにひしめき合い、アメリカの利益や優先課題が配慮されることもなくなる。これによって新しい問題が作り出され、現状の問題を解決するのもますます難しくなる。要するに、ポスト冷戦秩序は解体しつつある。秩序の崩壊はパワーと意思決定メカニズムが分散化していること同様に、アメリカがもはやまともに国際行動を起こさないと考えられていることに派生している。いまや問うべきは、世界秩序が今後も解体していくかどうかではない。いかに迅速に奥深く解体プロセスが進展するかだろう。

憂鬱なウクライナの未来
――追い込まれた経済と未来

2014年11月号

バラザス・ジャラビック カーネギー国際平和財団客員フェロー

ウクライナの治安はひどく悪化している。独立広場で民衆デモが起きて以降、法執行機関への市民の信頼が低下しているために「ウクライナの法と秩序は崩壊する」と予測する欧米の専門家もいる。兵器が大量に出回っているために、今後、政治論争が暴力化、過激化していく恐れもある。さらに、ウクライナがどのようにロシアとの平和を実現するかについてのコンセンサスは存在しない。ロシアに立場を譲ることは屈服に等しいと考える人もいれば、民主的で欧米志向の国家に向けて前進するには、ドンバス(ドネツク州とルハンシク州)を実質的にロシアに委ねるしかないと考える人もいる。政府の決定も民主的に行われているとは言いがたく、ポロシェンコ政権もしだいにヤヌコビッチ政権と変わらないとみなされ、同様の結末に直面する恐れもある。・・・

トルコとクルド人のジレンマ
―― イスラム国と軍とクルド人問題

2014年11月号

ハリル・カラベリ 中央アジア・カフカス研究所  シニアフェロー

イスラム国が作り出すトルコ・シリア国境地帯の混乱を前に、トルコ国内の政治バランスは崩れ、いまや軍部が大きな力をもちつつある。一方で、政府と国内のクルド人勢力との和平プロセスはいまや破綻しかねない状況にある。「シリアのクルド人に対するイスラム国の攻撃にトルコ政府は水面下で加担している」とみなすクルド人の怒りはピークに達している。一方、国境地帯の混乱を前に、エルドアンは国内のクルド人の動きを警戒するトルコ軍の見方と提言に配慮せざるを得ない状況にある。トルコ軍は軍のレッドラインが「トルコ国家の統合と領土保全を守ること」であることを改めて強調している。これはシリアとの国境線だけでなく、「クルド人に自治権を与えることを軍は認めない」というメッセージに他ならない。トルコは一体どこへ向かうか。その多くはクルド人が「政治的連帯」のパートナーをどこに求めるかで左右される。

シリア問題に揺れるトルコ

2014年11月号

マイケル・J・コプロ―  イスラエル・インスティチュート プログラム・ディレクター

公正発展党(AKP)政権による統治はトルコにかつてない安定をもたらした。経済成長を実現し、国内のクルド問題への対策をとったことが、こうした安定化に大きく貢献した。AKP支持者でないトルコ人も、現状からみて、「テロや暗殺、軍事クーデター、制御できないインフレの時代は遠い過去へと過ぎ去った」と考えてきた。しかし、イスラム国の台頭によって、シリアとの国境地帯が極度の混乱に陥っているために、こうした安定が大きく損なわれつつある。イスラム国がトルコを直接的に脅かすことはないとしても、シリア難民の流入に派生する経済的重み、国境地帯でのイスラム国とクルド人の戦闘に軍を投入しようとしない政府へのクルド人の反発、ナショナリズムの復活、そして説明責任を負わない情報機関の権限の濫用などがトルコを次第に不安定化させつつある。・・・

マスーム・イラク大統領との対話

2014年11月号

フアド・マスーム イラク大統領、マイケル・R・ゴードン ニューヨークタイムズ紙記者

「住民投票で独立が支持されても、直ちにクルド国家としての独立を宣言するわけではない。国家として必要になるものを整備していく必要があり、これは一種のプロジェクトとみなすべきだろう。もちろん、地域的、国際的な根回しも必要になる。このプロセスには非常に長い時間が必要になる。現状ではクルドが独立を宣言できる状態にはない。・・・連邦国家から(各地域を分けた)国家連合へと向かうべきだと考える人もいるが、イラクを三つの独立国に分けるのは、現状からみれば、現実離れしている。・・・

イスラム国のアジアへの拡大

2014年11月号

ジョセフ・リョー・チンヨン ブルッキングズ研究所シニアフェロー(東南アジア研究担当

東南アジア諸国がもっとも警戒しているのは、国内のイスラム教徒がイスラム国のイデオロギーに感化されて中東に渡り、イスラム国の一員として戦い、最終的にその過激思想をアジアに持ち帰ることだ。すでに、世界最大のイスラム教徒人口を抱えるインドネシア政府は、50人以上がシリアとイラクで戦闘に参加していることを確認している。マレーシアからは30―40人がイスラム国に参加しているとみられる。しかも実際の数はこれよりもはるかに多い可能性がある。なぜ彼らはイスラム国に魅了されるのか。一つには、イスラム国の活動に「終末のカリフの国」が誕生するというコーランの予言とのつながりを彼らが見いだしているからだ。「(黒い旗を掲げて戦うとされるイスラムの救世主)イマーム・マフディと(偽の預言者)ダッジャールの間で終末戦争」が起きるという予言に彼らは現実味を感じている。・・・・

イスラム国の次なるターゲット?
―― 破綻国家リビアにおける抗争

2014年10月号

ジェフリー・ハワード
コントロール・リスク リードアナリスト (リビア担当)

深刻な政治危機と国家制度の崩壊によって権力の空白が生じているリビアは、テロ集団が活動しやすい環境にある。イスラム国の指導者アブマクル・バグダディは、東部のバルカ(ベンガジ州)、西部のトリポリ、南部のフェザーンがすでにイスラム国の支配下にあると表明し、最近もイスラム国の関連組織が21人のエジプト人コプト教徒を斬首・殺害する事件が起きている。とはいえ、リビアにおけるイスラム国の影響力は過大評価されている。人口の95%がスンニ派であるリビアにおける宗派対立のリスクは、イラクやシリアのそれほど深刻ではない。リビアが近く破綻国家と化すというシナリオも取りざたされているのは事実だが、イスラム国がリビアをカリフ国家の一部とするのは容易ではないだろう。・・・

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