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に関する論文

CFR Meeting
証言 いかに冷戦は終結したか
―― ドイツ再統一とNATO加盟問題

2014年12月号

ロバート・ブラックウィル/米外交問題評議会シニアフェロー
ビタリー・チュルキン/ロシア国連大使
フランク・エルベ /元ドイツ外務省政策企画部長

「ゴルバチョフとシュワルナゼは、経済的にも社会的にもソビエトが深刻な状態に陥っていることを理解していた。・・・ソビエトの指導者たちは、アメリカを中心とする欧米との新しい関係が、ソビエトの経済問題を解決する助けになると考えていた」。(フランク・エルベ)

「あまりに性急に交渉を進めれば、ソビエト市民がまだ事態を受け入れる準備ができていないために、ドイツ再統一も見果てぬ夢に終わる。交渉を過度に緩慢なものにすれば、ゴルバチョフに敵対する勢力が連帯し、この場合も統一は実現しない。これがシュワルナゼの立場だった」。(ロバート・ブラックウィル)

「ゴルバチョフは、自分自身が批判的な体制を維持したいとは考えていなかったし、ある意味では自分が政治的に生き残りたいとは考えていなかった。だから、(東ヨーロッパへの軍事介入を選ばず)状況を流れに委ねることを選んだ」。(ビタリー・チェルキン)

当時、ドイツ人の多くは「NATO加盟にこだわれば、再統一は実現しない」と考えていた。他に再統一を果たす道筋がなかったために、中立国家になるしかないと感じていた。 だが、12月12日にベルリンで演説したベーカー国務長官は「統一を果たしたドイツがNATOに加盟することを条件に、ワシントンはドイツ再統一を支援する」と表明した。これによって、西ドイツ政府は非常に苦しい立場に追い込まれた。統一とNATO加盟を両立させる方法はないと感じていたからだ。 (フランク・エルベ)

シリア紛争への直接的軍事介入?
―― さらに踏み込むべきか、現状で踏みとどまるべきか

2014年12月号

スティーブン・サイモン 中東研究所シニアフェロー

(反政府勢力とアサド政権の双方と戦っている)イスラム国に対する空爆作戦を実施しつつも、ワシントンはシリア内戦の直接的プレイヤーにならないように細心の注意を払ってきた。特に、シリア政府を実質的に助けているとみなされたり、あるいは、シリア政府を倒す戦いに加担しているとみなされたりしないように心がけてきた。だが、ワシントンは、このどちらかを選ばざるを得ない状況に、程なく直面するだろう」。ここにおける基本的問題は次のようなものだ。(イスラム国対策として)アメリカが支援している非ジハード主義反政府勢力の一つが、アサド政権に対抗していくための支援を求めてきたら、どうするか。そうした反政府勢力を支援しなければ、イスラム国をターゲットとする空爆作戦を支持している諸国も、アメリカへの態度を変えることになる。だがワシントンが要求を受け入れれば、アメリカは内戦を戦う本当のプレイヤーになってしまう。

ギリシャを搾取したオリガークたち
―― 改革なき緊縮財政の悲劇

2014年12月号

パブロス・エレフセリアディス オックスフォード大学准教授

ギリシャは緊縮財政を実行し、経済再生を果たしつつあるかにみえる。しかし、ギリシャ経済は依然としてヨーロッパでもっとも閉鎖的で競争力に乏しく、大きな経済格差問題を抱えている。市民が緊縮財政のなかで困窮する一方で、政府は今も改革を先送りしている。依然として一握りの裕福な一族、オリガーク(少数の特権階級の支配者)たちがギリシャの政治を支配し、特権的立場を維持し、権力がもたらす恩恵を政治家たちと共有している。専門職団体と公的部門の労働組合という既得権益集団も存在する。極右・極左勢力が台頭しかねない社会・経済環境にあるというのに、それでもオリガークと既得権益層は、ギリシャだけでなく他のヨーロッパ諸国さえも犠牲にして、恩恵を手にし続けている。

論争 悪いのは欧米かロシアか
―― ウクライナ危機の本質は何か

2014年12月号

マイケル・マクフォール スタンフォード大学政治学教授
スティーブン・セスタノビッチ コロンビア大学国際関係大学院教授
ジョン・ミアシャイマー シカゴ大学教授

本当のストーリーを知るには何が同じで、何が変わったかに目を向ける必要がある。何が変わったかといえば、それはロシアの政治に他ならない。プーチンは支持層を動員し、野党勢力の力を弱めようと再びアメリカを敵として位置づけた。(M・マクフォール)

モスクワはヤヌコビッチに対して反政府デモを粉砕するように促したが、結局、彼の政権は崩壊し、ロシアのウクライナ政策も破綻した。プーチンがクリミアの編入に踏み切ったのは、自分が犯した大きな失敗からの挽回を図るためだった。(S・セスタノビッチ)

EUとの連合協定は、重要な安全保障合意という側面ももっていた。協定文書は「外交と安全保障政策の段階的な統一を、ウクライナをヨーロッパ安全保障へより深く組み込むという目的に即して進めること」を提案していた。これは、どうみても裏口からNATOに加盟させる方策だった。(J・ミアシャイマー)

米軍部隊の投入は避けられない?
――シリア・イラクにイスラム国に対抗できる集団は存在しない

2014年12月号

フレデリック・ホフ 前米政府シリア問題担当特別顧問

イラクには一定の戦闘能力をもつ軍事アセットは存在するが、イスラム国に対抗していく力はもつ集団は存在しない。シリアの自由シリア軍もアサドのシリア軍とイスラム国勢力の双方から攻撃を受け、大きな圧力にさらされている。最優先課題はイスラム国とシリア軍の双方を相手に戦いを続けている自由シリア軍を中心とするナショナリスト勢力を支援することだ。彼らが力を失えば、われわれは非常に深刻なジレンマに直面する。シリアの主要な部隊は(ともに欧米が敵視する)シリア軍とイスラム国の部隊だけになってしまうからだ。・・・トルコ政府はクルド労働者党(PKK)とシリアの「民主統一党」(PYD)をともにテロ集団とみなしているために、有志連合への参加に二の足を踏み、イスラム国に包囲されたコバニ情勢を静観している。これが国内のクルド人の反発を買っている・・・今後、イラクとシリアのいずれにおいても力強い地上戦力が存在しないことが大きな問題として浮上してくる。オバマ政権は「地上軍は送り込まない」と主張してきたが、いずれこの立場を再検討せざるを得なくなるだろう。

再び原油価格変動の時代へ
―― 原油価格の低下は何を意味するのか

2014年12月号

ロバート・マクナリー/ラピダン・グループ代表 マイケル・レビ /米外交問題評議会シニアフェロー(エネルギー・環境問題担当)

世界経済の停滞とリビアでの原油増産によって2014年夏に原油価格は低下し始めた。供給が増える一方で需要が低下すれば一般に価格は低下する。トレーダーたちはサウジが市場の安定を保つために減産に踏み切ると考え、1バレル90ドルが底値だろうと想定していた。だがサウジは価格の低下を受けいれ、拙速な減産はしないと示唆することで、市場に衝撃を与え、その結果、原油価格はさらに急激に低下した。問題は、価格変動を抑えるサウジの生産調整能力が低下していることだ。シェールオイルの増産が市場を一時的に安定化させた可能性もある。だが、数多く存在するシェールオイル企業の経済・財政状況はそれぞれ違っているために、変化に向けて一つの方向に生産を調整するのは容易ではない。サウジの生産調整能力ほど大きな市場インパクトはない。・・・

中国とロシアによる反欧米同盟
―― 中ロを結びつける六つの要因

2014年12月号

ギルバート・ロズマン プリンストン大学教授(社会学)

2012年、「中華民族の偉大なる復興」をスローガンとする「中国の夢」を表明した習近平国家主席は、中国がその中枢に位置するアジアの新しい地政学秩序を思い描いている。プーチン大統領も、旧ソビエト諸国をロシアが主導するユーラシア連合構想を表明している。重要なポイントは、両国が冷戦期の中ソ対立を再現しないように、十分に配慮していることだ。モスクワと北京の指導者たちは、欧米の影響力を抑え込むという両国が共有する利益枠組みが損なわれないようにしたいと考えている。実際、モスクワと北京は欧米秩序の正統性に対抗する外交路線をとることを心がけ、両国の野心的な外交政策については互いにコメントするのを控えている。中ロの結びつきは、一般に考えられているよりもはるかに強い。

イスラム国とイラクの現実

2014年12月号

ジェーン・アラフ アルジャジーラ・アメリカ・イラク特派員

イラクのクルド自治区議会は、(イスラム国に包囲された)シリアのクルド人を支援するために民兵組織ペシュメルガをシリアに派遣することを決議し、トルコ政府も一定数のペシュメルガがトルコを経てシリアに入り、コバニでの戦闘に参加することを認めた。一方で、コバニからの難民がトルコを経由してイラクのクルド人地域へと流れ込んでいる。その数は現地の収容能力をはるかに超えた1万1000人に達している。・・・イラク軍はすでに崩壊している。バグダッドの防衛にあたっているのはシーア派の武装組織で、イランがこうした武装集団を支援している。一方で米軍が空爆を実施している。・・・(イスラム国支配下にある地域では)イスラム国は国としての権威をアピールしようと試みている。行政組織を運営しようと試み、教師たちに教壇に戻るように促し、すべてはうまくいっているとみせかけようとしている。だが、これは真実ではない。(聞き手はバーナード・ガーズマン、cfr@orgのコンサルティング・エディター)

欧州における反移民感情の台頭

2014年11月号

ジェーン・パーク cfr.org Deputy Director

依然として経済的停滞から十分に立ち直れずにいるにも関わらず、ヨーロッパは、アフリカや中東から流入する移民、難民の急増という事態に直面している。欧州連合(EU)の対応は場当たり的で、「移民や難民の権利よりも国の安全保障を守ることを重視している」との批判も聞かれる。一方で、財政難に苦しむ多くのEU加盟国は、社会サービスを切り捨てざるを得ない状況に追い込まれ、反移民の立場をとる極右政党が急速に台頭している。いまや、人権の尊重、自由な人の移動というEUの中核理念が脅かされかねない状況にある。ほとんどのEU加盟国は難民対策として地中海の海上警備の強化・拡大や取り締まりめぐる情報共有には前向きだが、難民や移民の権利を守るための枠組み合意は形成されていない。移民排斥を唱える極右政党が今後も支持を集め、彼らが政治スキルを高めていけば、経済が回復しても、ヨーロッパに反移民感情が定着する恐れがある。・・・

すべての道は北京に通ず
―― 習近平の遠大なビジョンのリスクと機会

2014年11月号

エリザベス・C・エコノミー  米外交問題評議会フェロー兼アジア研究担当ディレクター

経済的な成功にもかかわらず、中国が政治的に漂流しているタイミングで習近平は国家主席に就任した。政治腐敗問題とイデオロギーの形骸化に苦しむ中国共産党は大衆の信任を失い、社会騒乱も深刻化している。依然として見事な成長軌道にあるものの、中国経済は柔軟性を失い、先行き不透明感が高まっている。グローバルな経済大国としての地位を確立しながらも、その実力に見合うような影響力を行使できていない。こうした停滞を前に習近平は、彼のため、共産党のため、そして中国のために権力の強化を模索するようになった。共産党の伝統的な集団指導体制を拒絶し、厳格な中央集権型政治システムにおけるより大きな権限を持つ指導者として自らを位置づけた。だが彼の政策はすでに国内の不満を増大させ、国際的な批判と反動を呼び込んでいる。・・・・

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