バグダッドを攻略し、多くの石油資源が存在する南部を支配し、新たに政府を樹立することがイラク・シリア・イスラム国(ISIS)にとっての勝利の定義だとすれば、彼らが勝利を収めることはあり得ない。そうした目的を実現するにはISISの組織規模は小さすぎるし、すでに多数派であるシーア派は対抗戦略をまとめている。問題は、マリキ首相がスンニ派の政治家だけでなく、一部のシーア派の同盟勢力も切り捨て、影響力を抑え込み、権力を一元的に管理していることだ。マリキ個人の問題だけでなく、サダム・フセイン時代に遡るイラクの民族・宗派間の対立が根深いことも考慮する必要がある。要するに、イラクの政治階級は国をうまくまとめられずにいる。今回の危機をきっかけに、互いに対する反感を克服し、ISISの脅威に対抗できる政府を形作れる可能性は低いだろう。(報道によれば、ISISは6月下旬に「カリフ」を指導者とするイスラム国家を樹立すると一方的に宣言し、クルド自治政府も6月下旬に、今後の政治状況を見極めた上で、独立を目指す考えを示している)。・・・・(聞き手はMohammed Aly Sergie、Online Writer/Editor)